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1. モデル実験のねらい…事業化を目指した課金によるモデル実験

 

H13年度のモデル実験は、日本におけるカーシェアリングの普及のための具体的な行動の第一歩として重要な試みと考えている。

カーシェアリングが個人にとって利用価値があるものとして選択され、日本で成立するためには経済性と利便性が最も重要な成立条件であるので、課金による実験を行う。

その上で、日本でカーシェアリングという車の共同利用の形式が受け入れられるのか、あるいは、事業としての成立可能性はあるのかを検討していきたい。

モデル実験の目的を以下の3つのレベルに整理した。

 

(1) ニーズ(需要)レベル…個人としてカーシェアリングを選択するか、利用のための諸条件を確認する。

(2) 社会的レベル…地球環境や都市環境への効果が認められるか。

(3) 運営レベル…事業として成り立つか、重要なファクターは何か。

運営上の問題点、課題は何があるか。

 

以上のカーシェアリングの成立というニーズのレベルと現実に事業として成り立っていくのかという運営のレベルは延長上にあるので合わせて考え、以下の2点をモデル実験で検証、把握していきたい。

 

・ニーズの把握と事業性の把握

実験を通して集める必要のある主な基本的データとして以下の事柄が関係している。

1) 需要があるか。…会員数、利用頻度、利用時間

2) 料金的にどうか。…料金体系(保証金、会費、時間距離課金等)

3) 利便性は満足できるか。…適正車対応会員数、使えない頻度等制約条件

4) 事業として成立するか。…会員数、利用頻度、料金と収益、運営経費等

 

・社会的効果の把握

カーシェアリングでは「一台の車を複数の人々で利用する」ことから、車の絶対数の減少化に貢献する。この車の総量が減ることで以下の効果が期待される。

1] 環境負荷の軽減…交通量の減少、渋滞緩和

2] 都市空間の節減…駐車場の節減、道路空間の再配分(人、公共交通、自転車)

交通量の減少については、今回の小規模でまた短期の実験では必ずしも社会全体に対して十分説得力のある推測、予想をすることができないが、実験前後の交通日誌やアンケート等も用い、可能な限り把握し、確認していく。

 

 

 

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