これに対してShareCom のモットーは「所有でなく利用する」というもの。当初は、消費財や娯楽目的の商品を共同利用することを目指して活動を始めたが、やがて車の共同利用に力を入れるようになり、現在では、ヨット、ビデオカメラ、特殊用途自転車などの共同利用まで手を広げている。以上の2社は会員が掛け持ち的な利用することが可能な関係にあり1996年末には両社あわせて600台以上の車を保有し約10,000人の会員が存在する。スイスでは1990年に、エネルギー・テーマについての国民投票が行われ、スイス連邦議会はEnergy2000 というアクションプログラムを開始した。これはエネルギー消費を1990年レベルで安定化させることを目的としたもので、内燃機関自動車を LEV(軽量でエネルギー効率の良いEV)に代替するとともに、カーシェアリングを推奨する。両団体もスイス自動車クラブの提唱した公共交通としてのカーシェアリング案を受け入れたことから、公的な事業へと変貌してゆく。ShareCom は、電子予約システムを発展させ、顧客の獲得に力を注いだ。電子予約システムはCSC CarShanng Company社が初めて開発したもので、利用者は、電話機のボタン操作や、パソコンを用いて予約を入れ、この予約情報は、ベージャと呼ぶ装置を介して車載のコンピュータに伝達される。利用登録者は車に対して本人である確認作業を行うと車のドアが開き、駐車場の車止めがはずれる。車内に保管したエンジンキーを取り出して即座に運転を開始できる。走行キロ数と利用時間は、車載コンピュータに記録されるので、そのデータをホストコンピュータに持ち込んで料金計算を行うことになる。これは現在欧州全体で広がりつつあるカーシェアリングのプロトタイプとも言えるものだ。
カーシェアリングの拡大
さて、ドイツではカーシェアリングの組織が広範囲に分散したことから、グループ全体で横断的にできる共同事業の必要性が言われてきた。1991年に設立された巨大連合組織ECS European Car Sharingは、共通の指針、共通の広報活動、他団体や他国のモード間の共通利用を規則とした。40のカーシェアリングクラブを傘下におさめ、25,000人の会員ドイツ、オランダ、アイルランド、オーストリア、スイスに拠点を持つ。オランダでは年間50から60%の会員を増やしており、500台の車を持ちスタンドで提供する。これに対して、BOA Bundesverband Organisierte Autoteilen(連邦協会組織によるカーシェアリング)という連合組織がライバル関係にあり、20,000人の会員を抱え4つのドイツの州と450都市を拠点とし1300台以上の車を保有している。