年間利用では、月に6回程度の利用(年216時間)では、自家用車の所有と比べると6分の1以下と経済的であることが示されている。また通常の利用で年間10000km走行するとしても30%程度経済的という結果となった。従って所有するのと比べるとまだ経済的であることがわかる。収益面では、会費は相当期待できるが、個人の利用費用としては大きな要素とならない。
上記に検討した料金は日本の車の利用上、レンタカーや自分で自動車を所有するよりも経済的である価格であることが確認された。多少の余裕はあるもののさほど高くすることはできない。
2) カーシェアリングの採算性関連ファクター
採算性の検討からカーシェアリングの事業において、事業の成否を左右する最も大きな要因は「会員数」と「車の利用頻度」であることが試算から理解できる。しかもこれら要素はカーシェアリングが一般化するとき自然と満足される要素である。
その段階に到達する以前に、カーシェアリングの事業採算性に大きく影響する要素を試算から抽出し、検討する。
1] 料金
保証金 事業当初会員が集まるまで諸初期費用に充当できるので、効果的ではある。事業の収益性とは直接連動しない。
会費(月/年) 利用をしない会員の増加をさけるため有効。運営的にも時間・距離課金と組み合わせて総合的な料金設定が必要。
時間・距離課金 ヨーロッパの料金(時間料金200円/時、距離25円/km)は、日本の物価からすると多少割安とも考えられるが、一日利用のレンタカー、一年間で自家用車の費用と比較すると、高くはできない。
道路条件が悪く、渋滞の多い都市部では、距離料金よりも時間料金に比重を置く方が賢明と考えられる。
2] 運営費、管理費
事業規模が小さいときは、経費の半分程度を占める。
NPO的な小規模な個人経営、あるいはカーシェアリングの意義に賛同する人々が組合を構成するような場合、運営経費を極力切りつめるような事業形態が可能性が高くなる。
3] 車両関連費
車両減価償却費、修理代、自動車取得税・登録税・自動車税・重量税、車両保険等
車を所有する費用はカーシェアリングにおいて負担が大きく、15人に一台程度でも支出の1/3程度をしめる。
この部分の経費軽減も重要である。
4] 駐車場代
場所により料金が異なるが採算性を左右する大きな要素である。