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その分を時間料金に振り分けるか、距離料金に振り分けるか、その配分などについては、実際の利用実態と、地区の利用目的等の要素も関連してきて、一律に決めることは難しい。

一台当たりの適切な会員数を一定にし幽霊会員の存在を最小限にするために、一方で、利用に関わらず一定の収入を得るためなどの理由で、会費の徴収は重要である。

 

イ. 収益から見た料金設定の考え方

料金設定は、以下の両面から考えていかなければならない。

1] 利用の仕方を誘導し、事業を成立させるというような運営側の意向に基づく設定と、

2] 利用しやすさ、経済性という利用者個人の判断で利用が決められるという側面の設定

現実には、実際の運営で利用度を経験的なデータから推計していく方法を考え、事業者の方針に従った料金設定が進められるのだろう。その際、環境への効果に期待する社会的な目標をになう事業と、マーケット優先の経済行為優先の事業とそれぞれの傾向が想定される。そこに、社会的支援、公共側の支援のあり方も位置づけられていく。

カーシェアリングの事例や実験例が日本ではなく、利用しやすい料金設定の参考となるものがない。従って、ここでは収益構造を考慮しつつ、以下の表で示すように車の使われ方を運営側で恣意的に誘導する考え方で料金設定を行ってみる。

 

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次に既に社会に定着したヨーロッパの料金を参考に、その数値をアレンジした基本料金を設定し、検討を進める。

 

●ヨーロッパ等先行事例における課金体系(対象車は小型Opel Corsa1500ccクラス)

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ドイツの課金大系は各都市の事業者により、多少の上下はあるものの会費、時間料金、距離料金という組合せは一定している。ドイツ各都市4例ほどのカーシェアリングの料金体系から抽出すると、会費は概ね1万円前後で、時間料金は3.5〜4.0DM(195〜230円/h)、距離料金は0.29〜0.40DM/km(17〜22円/km)の範囲にある。時間料金が高いところは、時間料金が逆に安いとほぼ一定し多金額に収まっている。

 

 

 

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