4] 時間距離…車の占有時間に対する費用。
<不必要な利用を回避し、多くの利用を促進する>
車両の保有、維持に関わる経費。従って、利用度が低い場合は、時間料金の基本金額を高くしなければならない。
また、料金設定の考え方によっては走行距離料金との対比で、車の占有に対する費用の評価を考える必要がある。渋滞が多い地区や、駐車する用途の多い場合の利用に対応するときは、時間料金の設定で効率的な利用を誘導できる。
車両減価償却費あるいはリース料、車両設備費償却分、自動車税、自動車重量税、駐車場代…概ね支出の40%程度。
休日等車の利用が集中するときの抑制や、夜間等利用の少ないときの利用促進を狙った利用時間帯により異なる料金設定が有効である。
日本では、ヨーロッパに比べて、走行距離は伸びないので、その差を料金設定の際考慮することが重要である。
5] 走行距離…車の消耗、償却、及びガソリン代等に対応する費用。
<無駄なトリップを抑制し、交通量の削減効果>
車を走らせる際にかかる関連費用として、以下の燃料費、メテナンス費等がある。
渋滞の多い地区では、車を独占しているにもかかわらず料金に反映しないので、時間料金に比重をおいた方が賢明である。一方、走行料金を高くすると、交通量の多少の抑制が期待できる。
保険料、管理費、燃料費、車両メンテナンス費、修理代…概ね支出の30%。
交通量の抑制という環境の側面と、実際走行距離が伸びず占有時間ばかりが長くなるという収益の面からの判断と相反する側面がある。
単純に上記の考え方で、会費、時間料金、距離料金の収入の割合を設定すると状況によるが、概ね3:4:3となる。(採算性の検討の数値より)
しかしカーシェアリングの効果は、車を持たなくても使えるときに自由に使えることを保証しつつ、車利用を本当に必要なときに限定して、トータルで走行量を抑制することにある。その場合、会費は利用権を確保するための費用と考え、収入の30%が車両を確保するため自動的に徴収されることは、利用者にとっては負担が大きく、減額するほうが加入しやすい。権利保持の料金よりは利用料金と考えたい。利用者の拡大と、適切な利用を考えるならば、コストをストレートに対応させた収益構造を考えることは難しい。固定費である運営費関連を固定的収入である会費から収入を上げる考え方ではなく、時間距離課金に振り分ける操作的な料金設定が必要である。