日本財団 図書館


III-1-3. 高齢者や障害者等への緊急時対応に対する考え方

○ 高齢者や障害者等の緊急避難についてはケースバイケースで船長が判断するしかないと考えている事業者が大半である

 

高齢者や障害者等の緊急避難についての考え方は、各事業者ともケースバイケースで判断するしかないという回答であった。

特に、高齢者や障害者等を適切に避難誘導する余裕がない場合も想定され、一人でも多くの乗客を安全に避難させることを最優先とした場合の判断は、現場の船長の判断に任せるしかないといった意見が多かった。

たとえば内航航路の大型の船舶では緊急時には最も高い場所にある避難甲板から海面に救命いかだを投下して、救命いかだへ10m以上の高さから避難シューターを利用して避難するといった方法が一般的であるが、車いす使用者を車いすから降りてもらいシューターを利用して安全に避難させることが可能かといった具体的な問題点の指摘もあった。

一般的な避難ルールとして避難時には自力で避難できる女性の乗客、子供の乗客、お年寄りの乗客を優先的に避難させるが、介助が必要な高齢者や障害者をどのように避難させるかについては、非常に難しい問題であるといった意見が多かった。

さらに介助が必要な高齢者や障害者等を避難させる場合には、船長や乗務員が避難させることになるが、一方で船長や乗務員は全員の避難を確認してから最後に船舶から避難する必要があることから、高齢者や障害者の避難が最後になってしまうといった問題点もあるといった指摘もあった。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION