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III. 海上交通における高齢者や障害者等への緊急時対応の現状把握

 

III-1. 海上交通における緊急時対応の現状把握

III-1-1. 高齢者や障害者等への緊急時対応マニュアルの整備状況

○ 高齢者や障害者等の利用者に対する緊急時避難方法についてのマニュアル整備は現状されていない

 

今回の調査対象旅客船事業者においては、高齢者や障害者等の者に対する緊急時対応方法についてのマニュアル整備を行っている旅客船事業者はなかった。

一般旅客への緊急時対応の方法については、各船舶のブリッヂに当該船舶の基本的な避難ルールが記載されている。しかし、その中では高齢者や障害者の具体的な避難方法についての記載はされていない。

その理由としてこれまで高齢者や障害者等の緊急時避難方法についてあまり検討されてこなかったという背景があることが考えられる。

 

III-1-2. 高齢者や障害者等への緊急時対応教育研修の実施状況

1] 高齢者や障害者等の利用者に対する緊急時避難方法についての教育研修も現状実施されていない

2] 日本旅客船協会の作成した緊急避難研修ビデオ教材の中で聴覚障害者への情報伝達方法について手話、身振り手振り、筆談等の方法が取り上げられている

 

今回の調査対象旅客船事業者においては、個別の事業者で高齢者や障害者等の者に対する緊急時対応方法についての教育研修を実施している旅客船事業者はなかった。一般旅客への緊急時対応の訓練は定期的に実施しているが、高齢者や障害者の具体的な避難方法にまで踏み込んで訓練を実施することはないという回答がほとんどであった。その理由としてマニュアル整備と同様にこれまで高齢者や障害者等の緊急時避難方法についてあまり検討されてこなかったため、対応方法がわからないといった意見が多かった。

業界団体である日本旅客船協会が会員企業向けに貸し出しを行っている緊急避難方法の研修ビデオの中で、緊急避難時に高齢者や障害者に対して特に配慮することが取り上げられている。ビデオの中では聴覚障害者に対して、緊急避難放送が聞こえないため乗務員が手話や身振り手振り、筆談等の方法で緊急避難の必要があることを伝えるように指導している。

 

 

 

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