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I-1-2. 高齢者、障害者を対象とした緊急避難対策を含めた接遇への取組みの必要性

わが国における海上交通における高齢者、障害者を対象とした緊急避難対策を含めた接遇については、これまで各海上交通事業者が個別に対応しているという状況である。

例えば、旅客船の関連団体である「日本旅客船協会」においては、協会作成の新入社員研修用ビデオの中で、「高齢者、障害者」の避難には特別に配慮することが触れられている。しかし、具体的な避難方法については、特に触れられていない。また、高齢者、障害者の接遇・介助についての資料等は用意されていない。

このように、海上交通における高齢者、障害者の緊急避難対策を含めた接遇に関する教育プログラムは、体系的にはほとんど取り組まれていない状況にある。

これは、救命胴衣の着用方法、防水、防火といった一般的な注意項目以外は、船舶ごとに具体的避難方法が異なっていることに起因している。

例えば、船舶ごとの乗客の避難方法については、ブリッヂに「非常配置表」として掲示することが義務付けられているが、高齢者や障害者に対する避難方法については、具体的に示されている例はほとんどないようである。

前述の海上交通事業者において個別に対応している接遇マニュアルについても、特に高齢者や障害者の接遇・介助を意識したものは少なく、一般的な旅客接遇マニュアルとして整備されているのが現状と思われる。

 

I-2. 調査の目的

本調査では、高齢者や障害者等の海上交通利用時における接遇・介助面と情報提供面からの問題点について実態を把握し、高齢者や障害者の接遇方法に関する課題、問題点を明らかにし、接遇マニュアルに向けて基礎資料を作成することを目的とする。

 

 

 

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