資料-5 国際比較における障害者の定義
交通のアクセシビリティ、バリアフリー化に関する調査を行う場合、アクセシブルな交通を必要としている人がどのくらい存在するのか、またスペシャル・トランスポートなどの利用資格を要する交通サービスの場合、どのくらいの高齢者や障害者がおり、そのうちどのくらいの人々が利用しているのか関心が持たれる部分である。しかし、こうした数字の把握は、国際的な障害者の定義やサービス給付の考え方の違いにより、比較することがなかなか困難である。ここでは、少しでも比較の参考になればと考え、詳細ではないが、調査対象国、およびADA法のあるアメリカの考え方および定義を示している。
1] わが国の障害者基本法における障害者の定義
障害者基本法における障害者の定義:この法律において「障害者」とは、身体障害、知的障害又は精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう。
付帯決議:「てんかん及び自閉症を有する者並びに難病に起因する身体又は精神上の障害を有するものであって長期にわたり生活上の支障があるものは、この法律の障害者の範囲に含まれる」
障害者の定義及びその障害程度評価は、身体ないし身体機能の障害に着目し、一定の基準に基づき医師が診断し、行政的措置として認定するシステム。
2] イギリスの障害者の定義
DDA定義:「通常の日常生活活動を行う個人の能力に対して相当程度かつ長期的悪影響を及ぼす身体的または精神的機能障害」としている。
「機能障害」とは、視覚や聴覚のような感覚に影響を及ぼす身体的機能障害、学習障害や精神的疾患(医学的意見を持つ権威のある団体に認められた場合)のような機能障害が含まれる。また、ある特定の条件は機能障害とは見なされない(アルコールまたはニコチン中毒、花粉症、放火癖、盗癖、入れ墨等)。
「長期間」とは、それが少なくとも12ヶ月継続するか、12ヶ月継続する見込みがあるか、その人の終生にわたり影響を受ける見込みがなければならない。また、長期的にそれが再発する可能性がある場合も含まれる。
「日常生活活動」は、定期的に多くの人が行う通常の活動で、次のうち一つを伴うものでなければならない。
・移動
・手指機能
・排泄のコントロール
・持ち上げ、運ぶ能力、またはその他の日常生活物資を移動させる能力
・言語、聴力、または視力
・記憶力、または集中し、学習し、もしくは理解する能力