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しかし、一般の利用に開放されている既存の建物や公共の場所は、障害者のアクセスに関して困難であるという欠陥を持つものが多い。

新しい建物でさえ欠陥が見られる事が多く、この場合デザイン的なディテールに関する部分が多い。たとえば、ドアノブの取り付け位置、トイレの設計などが挙げられる。こうした問題は、他にも色彩計画や照明計画の不備により視覚障害者のニーズに対応できていない場合、ワイヤ設備がなかったり、建物内の音響効果が悪く聴覚に障害がある人に困難な状況を生み出してしまっていることにも波及している。

また、設計ではアクセシビリティに関する基本的な基準を満たしているにも関わらず、建物が供用された段階でその設計がうまく機能しないことも起こりうる。

アクセシビリティに関する障害でもっともよく見られるのは、外部環境である。道の段差、階段、スロープ、レベル差の解消さらに舗装材の選択や施工によって生じた形態が、方角を検知することに障害のある人の移動を困難なものにしてしまっている。

そうした障害を回避するために遠回りすることで、障害者がさらに肉体的な負担を強いられることになる。

 

●変化のスピードが遅すぎる

政府の見解として、社会のアクセシビリティの改善への対応速度を増していかなければならないとしている。既存の公共建物やその他の公共的な場所の障害をすべて取り除くという、遡及的な整備基準を定めたこの規定は、それゆえ計画および建築の法律の中に取り入れられるべきである。

この規定の例外として認められるのは、小規模な建物計画、文化的、歴史的に見てとりわけ脆弱性の高い環境に手を加えなければならないような場合である。

政府としては以下のような研究についても取り組むことにしている。すなわち、現行の規則体系において、社会が提供するサービスやモノから障害者がどの程度、排除されているかまたは妨げられているかというものである。

 

この法案では政府は以下の点を提案している:

・1987年の計画および建築法に以下の規定を含むべきである。それは、既存の建築物および公共の場所において、移動や方向を認識するうえで障害のある人々のために、アクセシビリティと機能性に関するバリアを取り除くなんらかの方法を2010年までに実施するよう求める規定である。政府はこの分野におけるさらなる提案を2000年のうちに発表する予定である。

・国家住宅・建築物・計画局(the National Board of Housing, Building and Planning)は、新たな建設工事や公共の場所への変更工事にも適用される計画および建築法において、アクセシビリティに関連した既存の整備基準を明確にする任務を負うべきである。

・今後数年間、国家住宅・建築物・計画局は、高齢者・障害者のためのアクセシビリティを優先的な課題として取り組むよう、プライオリティを与えるべきである。

・計画と建築における規定の適用の際、地方の障害者組織にとってもコンサルティング(諮問)を行う参加機会を得ることは可能であり、検討されるべきである。

 

 

 

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