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表5-4-3-5 ベストトラフィックの全体(4支社)の概要

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一方、ベストトラフィックのボロース支社は7つの市を営業範囲としている。地域の人口はおよそ20万人である。180台のバス車両で133路線を運行している。一日のトリップ数は44,000回に達し、年間の売り上げは1億7千万Skr (約22億円)である。

社員数は8名で、運行はすべて委託事業者に任されているので、ベストトラフィックはサービスをコントロールする機能だけに限定している(本社および支社を合わせても社員数は約150名である)。

 

b. サービスルートの取り組み

サービスルートは高齢者・障害者のモビリティを考慮したアクセシブルな路線バスサービスである。STSはコスト的に高いので、代替的な手段として位置づけられると同時に、STSの利用資格を得られないが、通常の公共交通機関では利用に困難があるような利用者層が想定されている。

通常のバスネットワークの一部であるが、高齢者や障害者のニーズに対応するために工夫され、公共交通が運行されている地域の地方自治体との協力により運行されているのが一般的である。車両が小型なので、通常の路線バスのようにルート上の制約が少ない。すなわち、狭い道路、曲がり角、必要ならば歩道上への乗り上げも可能である。サービスセンター、病院などの玄関口まで接近できる。もちろん住宅街に入ることも可能である。このサービスで使用される車両はすべて、少なくとも車いす1台分のスペースが用意されている。また乗降口が低く作られている。独自の時刻表が組まれ、ドライバーは利用者の様々なんニーズに対応できるようになっている。利用に際して特別な料金は必要なく、通常の公共交通と同じ運賃である。STS有資格者ならばIDを提示することにより、無料で利用できる。事前の予約は必要ないことから、時刻表に合わせていつでも利用できる。

サービスは現在、毎日運行されており、朝8時台から夕方4時台まで60分間隔で運行されるのが一般的である。曜日や路線により、運行間隔、運行時間が若干異なっている。

同市でサービスルートが開始されたのは、1983年である。ボロース市交通局が、当時の地域の交通事業者である、ボロース・ローカルトラフィック社に委託した。丘の多い地形のため、移動は車に限られる地域である。都心部はすり鉢状の地形の中心に位置するため、周囲の丘陵地帯の住宅地から、タウンセンター、医療施設等への移動が課題であった。

運行のきっかけは、別のサービス(都心部の駐車場循環バス)でドイツ製ネオプランバスが使用されていた。その車両はアクセシブルであった。後に当該サービスが廃止され、不要になった新たな用途としてサービスルートが考案された。当初は都心部を循環するだけの路線設定であったが、乗客数が伸びずに失敗した。そこで、周辺の住宅地と中心部を結ぶ路線設定を行ったところ乗客数が増加し、車両数も10台に増加することになった。

 

 

 

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