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図4-4-2-3 HTの組織

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2] バス運行事業

地下鉄やLRTがないコペンハーゲンにおいて、バスは都心部においても郊外においても最も主要な移動手段である。ここではHTのバス事業の概要とアクセシブル化の取り組みについて述べる。

 

a. バス事業の外部委託

コペンハーゲンにおいても、他の欧米諸国の事例にもれず、公共交通事業の運行の一部が外部委託され、表面上は同一のサービスであっても、複数の受託事業者によってバスサービスが運行されている。

「コペンハーゲン都市圏における乗合い交通(Collective Passengers Transport)に関するデンマーク法」および「HT法」が、HT委員会の主導で1994年に修正された。修正内容は、以前のHTの一部門であったバス部門を、独立した新法人「バスデンマークA/S」として再編するというものである。

同じ時期、デンマーク国会は、HTの運行に関する業務を遅くとも2002年までに完全に外部委託するという方針を決定した。この政策にはサービスバスやテレバスの外部委託運行も含まれている。1995年11月25日現在、HTのバス運行部門のおよそ56%が委託のための入札制度を導入している。入札制度が導入されていないその他の非委託業務については、現在バスデンマーク社(直営的な事業体)が運行している。

したがって、首都圏のバス市場は現在自由競争である。つまり、民間・公共、国内・国外を問わず、いかなる事業者でもHTの業務を落札する事ができる。

結果的に、個々のバス路線は、それぞれ異なった事業者によって運行されるが、HTは運行計画、サービスのスタンダードの策定、バスの仕様の決定など全体の管理機関としての役割を担っている。

バス市場における競争は、バス事業運営にかかるコストを低減させ、同時にサービスの質の向上が図られる傾向にある。しかしながら、HTの管轄範囲における公共バス交通はおおよそ7億DKK/年(1DKK=15円として約1,050億円)の補助を必要としている。また、年金受給者、障害者向けのハンディキャップ・サービスにはおよそ2億7,500万DKK/年(同約412億円)の補助が支出されている。このように補助金を受けなければ運営ができない理由の一つは、人口が少なくバス事業の採算が成り立たない地域においてもHTがサービスを提供していることが挙げられる。

 

 

 

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