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地方バス交付金(the Rural Bus Grant)により助成を受けた新たなバスサービスが全国に広がっている。また、これまでの公共交通の改善や新たなタイプの公共交通が地方バスチャレンジプログラム(the Rural Bus Challenge)を通じて補助金の交付を受けている。さらに、カントリーサイドエージェンシー(the Countryside Agency)による地方交通パートナーシップファンド(the Rural Transport Partnership fund)も影響している。コミュニティバスの役割は、既存のもしくは、現在計画されている公共交通との融合や統合という点で、将来的な役割が改めて問われている。

 

iii) コミュニティ・カー・スキーム

CTにはミニバスなどを用いた形態の他にも、コミュニティ・カー・スキーム(スキームはサービス提供の仕組み、方法、枠組みの意、ソーシャル・カー・スキームとも言う)と呼ばれる形態も発達している。これは、ボランティアによる自車を用いた送迎サービスと考えるとわかりやすい。全国でおよそ3,000スキームが実践されている。

利用の仕組みは、例えばAさんが、近所のお年寄りBさんの通院送迎を行うとする。しかし、毎回行うのは大変である。そこで、こうした関係をシステム化して、送迎してほしい人と送迎サービスを提供してもよい人をコーディネートし、双方の都合がマッチする仕組みにする。

送迎のボランティアには、実費程度の費用弁済が行われる。こうすれば、送迎するほうもされる方も気兼ねなく、必要な時にサービスを受けることが比較的容易に行えるというものである。法的な規制が厳格ではないので、特に地方で発展している。利用経費は実費負担程度で、運営にかかる事務的経費等は自治体等からの補助があるのが一般的である。

カムデンのCTの例では、9人のボランティアドライバーが登録され実施されている。うち一人はスケジュール管理を担当している。自車またはカムデンCT所有の車を使用している。利用者は1週間で15名程度である。料金は月単位で集計して利用者から徴収している。自車仕様の場合、ドライバーに対して1マイルあたり35ペンスが支払われる。大型車の場合、1マイルあたり45ペンスが支払われる。カムデンCTの車を使用する場合は、CT事務所までの交通費が実費支給される。いずれの形態においてもドライバーには昼食が提供される。利用に際しては通常は2日前までに予約を行う。また、大学の講義に半年間通うなど、長期利用の予約が可能であり、ダイアル・ア・ライドにはない細かいサービスが利用できる利点がある。

このスキームの特徴は立上げが容易なことである。しかし、近年の渋滞やガソリン代の高騰により、ボランティアの確保が難しくなっている。そのため利用者の負担が大きくなり、利用者数が減少するという悪循環が見られる。

 

iv) ダイアル・ア・ライド

ダイアル・ア・ライド(マンチェスターではRing&Rideと呼ばれる)は、ある程度のルートを決めた上で、ディビエーション(定路線を外れて運行する)運行される、ドア・ツー・ドアのシステムである。利用には予約が必要である。

 

 

 

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