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なお、旧型のバスで現在でも使用されているものについては、DPTACが勧告した仕様に従い改善を進める。DPTACの規則はステップの高さの基準、色のコントラストのある車内手すり、着席したままでも手が届く降車ボタンなどに関するものである。

 

b. 地下鉄

ロンドンの地下鉄は1863年に開業し、現在では12路線、277駅を擁し、日に300万人を輸送するに至っている。

新規に延伸されたジュビリー(Jubilee)線のウェストミンスター(Westminster)駅―ストラットフォード(Stratford)駅間は、全ての駅でエレベーターが設置されている(ただし、2000年9月時点で、ウォータールーとロンドンブリッジ駅ではまだエレベーターが供用されていない)。

エレベーターの設置は、駅の改修時に実施し、暗くてホームの端にあるようなものではなく、明るく快適に使えるよう設置場所に配慮している。エレベーターのない一部の駅では、ステアクライミングマシン(階段自動昇降装置)を導入しているが、実際に利用する車いす使用者は、恐怖を感じることが多く評判が良くないためあまり使わない傾向になっている。

 

図3-4-2-6 地下鉄ジュビリー線カナリーワーフ駅入口

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バリアフリーの整備水準は、新線のジュビリー線が最もすすんでいる(図3-4-2-6、3-4-2-7)。ロンドンの地下鉄全体では、現在277駅のうち、完全に段差が解消されたのは40駅(約14%)で、そのうち11駅はジュビリー線に属するものである。ただし、ジュビリー線においても、郊外部の旧線路を利用している区間では車両とホームの間に大きなギャップがあり、路線全体でみるとバリアフリーであるとはいえない。計画では今後10〜15年間の間に、車両とホームの間の段差をなくす整備を、すでにアクセシブル化されている駅のほかに、さらに68駅で行う予定である。

ジュビリー線とノーザン(Northern)線では、車いすのスペースが車内に設けられ、音声と視覚による情報装置が装備され駅名等の案内が行われている(図3-4-2-8)。

地下鉄のバリアフリー化が進んでいる背景として、ジュビリー線の延伸に関連して、ロンドンの地下鉄にとっては初めて、アクセシブル化を促進していくという政府決定がなされたことが挙げられる。以後、TfLにおける新線建設、延伸および既存駅の大規模改修には、完全な段差解消によるアクセシブル化を進めていくという方針が定着した。TfL担当者によれば、DDAでは交通事業者に対して、財源や妥当性などの実現可能性を検討した上で、施設のアクセシブル化が義務づけられている。

 

 

 

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