オーストリアでは、改造費用について、最高で55,432オーストリアシリング(約50万円)の補助が交付される。
ドイツでは車両購入費用のうち最高で18,000マルクまでの助成が受けられる。通勤のために自家用車が必要であるという条件が最優先されるが、社会参加の視点からその他の目的についても補助金が交付されている。
ノルウェーでは、車両購入費が社会保険により100%助成されるが、所得制限が厳しく、かなりの低所得層でなければ100%補助は受けられない。
イギリスはやや事情が異なり、改造費用は個人負担が原則である。チャリティー組織の「モタビリティ(Motability)」による助成が行われているが、同組織は中央政府が資金援助を行っている。したがって、中央政府による間接的な補助と解釈する事ができる。
改造費の補助ではなく、車両の維持に関して補助を行う国がある。例えばギリシャでは、重度障害者の場合、自動車税および燃料税が免税になる。オーストリア、スペインでも同様に新車取得税の一部、燃料税が免税される制度がある。
b. 障害者の免許取得、安全運転を支援する機関
障害者の運転に関して、安全指導を行ったり、適正を判定する機関があることは重要である。いくつかの国ではこうした機関が設置され、障害者の免許取得および安全運転に関するアドバイスを行っている。
イギリス、スペインは、他の国々と比較してアドバイス/適性判定センターの設置数が多い。イギリスは85万人に1ヶ所の割合で設置されていることになる。カナダの適性判定センター(assessment center)はアルバータ州およびブリティッシュ・コロンビア州のものである。こうしたセンター設置の責任を明確にしているのはこの2州のみである。
フィンランドは民間の教習所が障害者の免許取得過程を設置して対応している。