3] ますます必要とされる適切な接遇・介助
『運輸白書』(平成12年度版)では、「我が国においては、諸外国に例を見ないほど急速に高齢化が進んでおり、平成27年(2015年)には国民の4人に1人が65歳以上の高齢者となる本格的な高齢社会が到来すると予測されているが、高齢化の進展の速度に比べて社会のシステムの対応は遅れているといわざるを得ない状況にある。」として、今後さらに高齢社会への対応を強める必要性が高いことを示しています。高齢者人口の確実な増加は、公共交通機関の利用者における高齢のお客さまの占める割合が高まることを意味します。すなわち、高齢のお客さまは、今後の公共交通機関のメインユーザーとして位置づけられるのです。
さらに障害者の社会参加に関しては「障害者が障害のない者と同等に生活し、活動する社会をめざすノーマライゼーションの理念に基づき、身体障害者についても、健常者と同様のサービスを受けることができるよう配慮することが求められている。このため、高齢者、身体障害者等が自立した日常生活や社会生活を営むことができる環境を整備することが急務となっている。」(同白書)として、現在、移動に制約がある人たちも、社会的な環境整備をすすめることにより、安全で快適に外出できる環境を実現する必要性が高いことが示されています。
こうした背景を受けて、2000年5月、交通バリアフリー法(「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」)が国会で成立し、同年11月に施行されました。
同法により、駅を中心に、公共交通機関がますます使いやすく、多くの人にとってバリアのない環境に変わりつつあります。一方で、いくら設備が整っても、高齢および障害のあるお客さまにとって、まだまだ不便な部分が残されています。