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歩行の方向(つまり、ブロックへの進入角度)をブロックに対して直角としたのは、ブロックを直交縦断した場合にブロックの縦断距離が最短になるためである。進入角度を変えればブロック幅が広がることになるので、直角に進入することはより厳しい条件であると判断した。

(6) ブロックの敷設条件

表3.1に示すように、ブロックの敷設条件は、ホーム縁端を知らせるブロックの敷設幅と、そこに直角に進入する歩行路の誘導ブロックの有無の組み合わせで合計8種類とした。これは、試験の条件の数が多くなりすぎると、被験者の拘束時間が長くなることなどにより、被験者に対する心身両面の負荷が大きくなり、妥当なデータが得られないと判断したためである。そこで、ホーム縁端を知らせるブロックの幅が40cm以上になるものについては、誘導ブロックがある条件を設けていない。また、ブロックの敷設幅についても既存の敷設方法等を参考に30、40、60cmの3条件とした。

1] 誘導ブロックの有無について

誘導ブロックの有無は、実際の駅ホーム上における移動場面を想定して設定した。

階段またはエレベーターとホームとの合流地点の警告ブロックからホーム縁端の警告ブロックに進入する場面では、その間をつないでいる誘導ブロックから警告ブロックに進入する。一方、ホーム上の多くの場所においてホームの内側から縁端側に進む場面(例えば、乗車する場面)では、ブロックの敷設されていない床面から警告ブロックに進入する。

2] ホーム縁端を知らせるブロックが敷設されてない条件について

実験の条件の1つとしてホーム縁端を知らせるブロックが敷設されていない条件(以下、停止不要条件とする)を加えた。これは、常に停止する課題であると、ブロックを探すことに集中しすぎた不自然な歩行になってしまうし、ブロックが検知できなかったケースが生じた場合、自分が失敗してしまったことに気づき、それ以降の歩行が慎重になりすぎてしまう心配があったためである。つまり、止まらないことが正しい条件を加えて、これらの問題を回避することにした。

3] 異種2列敷設について

表3.1における異2-1と異2-2は異なる種類のブロックを2列敷設していることを示している。異種2列とは、30cm幅の誘導ブロックをホーム縁端に並行向きにしたものと30cm幅の警告ブロックを並置したものである。これらを実験条件に含めたのは、警告ブロックをホーム縁端側、誘導ブロックを内側に並置して敷設するルールを定めることで、ホーム内・外方の検知策に利用できるかどうかについて基礎的なデータを得るためであった。

なお、進行方向手前側に警告ブロックがあるものを異2-1、進行方向手前側に誘導ブロックがあるものを異2-2と区別している。

 

 

 

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