後者は0度の方位信号が入るまでは角度の情報は得られないが安価である。レーダー・アンテナは旋回させながら使用するので、すぐに0度の基準は、方位信号が入るので後者のインクリメンタル型ロータリー・エンコーダが使用されている。船舶用レーダーでは一般に、360度で2,048あるいは、4,096個のパルス信号が出力されるものがよく使われている。ロータリー・エンコーダの概略を図4・49に示す。このロータリー・エンコーダは内部にスリットの開けられた回転板があり、このスリットを対面の発光ダイオードとフォトダイオードで検出している。このスリットにはA相、B相とZ相の3種があり、A相とB相とではパルスの出力には90度の位相差がつけられ逆回転のカウントも可能になっている。レーダーはA相かB相のどちらか一方を使用している。Z相は船首方位信号として使用できるが、1回転当たりの回転パルス数の少ないロータリー・エンコーダを使用している機種では、船首方位信号は従来のように磁石とリードスイッチの組合せで検出して、ロータリー・エンコーダの回転パルス信号と組み合わせているものもある。
レーダー・アンテナの回転角度のデジタル情報で最近のテレビ型表示器のレーダーでは、表示用のビデオメモリの該当位置に反射信号の強度情報を記憶させるようになっている。詳細は4・10に述べている。