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図4・23ミキサの等価回路

 

最近のレーダーでは、クリスタルダイオード方式のミキサはほとんど使われていない。次項に述べるフロント・エンド(マイクロ波集積回路)が使われている。

 

4・5・3 フロントエンド

物標からの弱い反射波を受信して、これを信号として検出する場合、もし雑音がなければ、どのように小さな受信信号であっても増幅して検出することができる。しかし、雑音には、空中線から信号と一緒に入ってくる外部雑音と、受信機そのもので発生する内部雑音とがあり、雑音の存在は避けられない。したがって、受信機の性能は大略その内部雑音の大きさで決まり、一般的には、入力端と出力端のそれぞれの信号対雑音比(S/N比)を比べ、その比率〔ノイズ・フィギュア(NF)〕の大きさで表している。レーダーの場合も、その最小受信信号(Smin)は雑音の大きさに比例しているので、最大探知距離を大きくするためには受信機の信号対雑音比(S/N比)を大きくすればよいことになる。

レーダーで使われているマイクロ波の領域では外部雑音は非常に小さくて、雑音のほとんどが周波数変換器(混合器)に使用されているミキサーダイオードの熱じょう乱による内部雑音である。そこで、S/N比を改善するために周波数変換器の前に雑音の小さい高周波増幅器をもう一段付け加え、総合的にNFを上げるためにモジュールとしてまとめられたフロントエンドが使用されている。マイクロ波集積回路(MIC)とも呼ばれている。最近のフロントエンドの内部構成を図4・24に示す。

レーダー方程式で示されるように、送信出力を大きくすることと、最小探知信号を小さくすることは同じことである。

 

 

 

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