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3dB結合器というのは、図4・20のように空中線からの受信信号(RF)を半分ずつに分けて、これらをクリスタルダイオードで検波し、同時に、局部発振器の出力(LO)も半分ずつに分けて合成するが、その位相がお互いに180度異なるので局部発振器からの雑音は相殺され、約3dB S/N(信号対雑音比)が攻善される。このため、3dB結合器と呼ばれている。

マイクロ波信号のミキサとしては、クリスタルダイオードが広く使用されてきた。これは、ダイオードの非直線性を利用して二周波を混合するものである。このクリスタルダイオードは図4・21に示すような構造で、シリコンとタングステン線とを特殊な容器に収めたものである。クリスタルの面には、感度の良い点とそうでない点とが分布しているが、タングステン線のとがった先をその最も感度の良い点に当て、その点が移動しないように封入剤を入れて密閉したものである。クリスタルダイオードの抵抗をテスターで計ると、その電圧の極性の加え方によって異った値を示す。この両方の値の比の前後比(又は順逆比)と呼んでいる。この方法はクリスタルダイオードの良否を調べる簡略法であり、良好な動作をしているときの前後比は、順方向で400Ω以下、逆方向の場合は10kΩ以上である。クリスタルダイオードの電圧電流特性は図4・22に示すように負電圧に対して高い抵抗を示し、正電圧に対して低い抵抗を示す非直線性の特性をもっている。

クリスタルダイオードによるミキサの等価回路は図4・23に示すとおりである。出力としては、クリスタルダイオードの非直線性の特性により、二つの周波数の和と差が出てくるが、LとCの同調回路はその差の周波数、すなわち中間周波数に同調するようになっているので、同調回路の両端には中間周波数の電圧のみがかかり、この電圧を中間周波増幅器に加えることになる。

 

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図4・21 クリスタルダイオードの構造

 

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図4.22 電圧電流特性

 

 

 

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