導波管の接合には、また、図3・34に示すように導波管を二つ並べて接合したものがある。これは、図3・34に示すように接合管壁は使用電波の波長λgの1/4の距離を離した結合穴AとABで連絡をしてある。いま、図の矢印の方向に導波管の中に電波を伝わらせたとする。こうすると結合穴Aを通って隣の導波管に漏れた電波は、その導波管の両方の方向に伝搬をする。しかし、この穴からλg/4離れた穴Bからも電波が漏れて、この隣の導波管を伝わる。このとき、同図の下のように隣の導波管を右の方向に伝わる波は、穴Aと穴Bからもれてきた分の伝搬するそれぞれの径路長は同じであるから、位相的に同じであり、二つの波が加わった形で右側に進む。一方、穴Aから入って左側に進む波には穴Bから入って左側に進む波が加わる。しかし、この二つの波は伝搬の径路長が(λg/4)×2=λg/2だけ異なっており、位相的には半波長異なるので、この二つの穴から入ってくる波のエネルギーが等しければ、A点で合成したときには互いに打ち消し合って、結果的に、左側には電波は伝わらないことになる。また一方、逆に右から左に主導波管を伝わる波は、下側の導波管では左側にのみ伝わるようになる。このような導波管の結合器を方向性結合器と呼ぶ。ただし、この結合器は、結合穴の間隔の4倍に等しい波長の電波にのみ有効であることに注意する必要がある。
方向性結合器は、レーダーの受信機の試験をするときに逆の径路で試験発振器の信号を主導波管側に入れたり、送信信号の部を取り出すのに使用したりする。