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3・5 変調用の電子管と半導体

マグネトロンを使って、幅の狭いパルス波形で、しかもレーダー用として大電力の送信を行うには、マグネトロンの陽極にパルス波形による高電圧を加えて、一時に電流を流してやる必要がある。このためには、送信休止時間中に電気回路の中へ電力を蓄えておいて、それを一時に放出する方法をとるのが普通であって、パルス変調回路には、このエネルギー放出のきっかけを作るスイッチ的な役割を果たすための電子管が使用されている。このための電子管として真空管(真空管を使ったパルス変調回路はハードチューブパルサと呼ばれる。)が使用されることもあるが、一般にはサイラトロンと呼ばれる放電管が使用され、また、最近ではそれを半導体化したサイリスタが使用されている。

 

3・5・1 サイラトロン

サイラトロンはガラス管の中に陰極と陽極及び格子を構成した、一見真空管と同様な電子管であるが、真空管は管内が高真空であるのに対して、サイラトロンでは管内にアルゴンや水銀などの蒸気が適切な圧力で封入されている。このようなガスを封入した電子管を一般には放電管と呼び、冷陰極放電管と熱陰極放電管とがあって、熱陰極放電管の中で格子を持っているのがサイラトロンである。放電管のシンボルマークは真空管とよく似ているが、管内にガスが封入されているという意味の黒点を付してその区別をしている。(図3・9)

 

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図3・9 放電管のシンボル

 

3・5・2 サイリスタ

サイリスタはシリコン制御整流素子又はSilicon Conrtolled Rectifierの頭文字をとってSCRと略称され、ちょうどサイラトロンと同じような動作をする半導体素子である。サイリスタの構成は図3・10に示すようにPNPNの四層からなる接合素子である。そして、一段目と三段目及び四段目に金属板を付けて端子を引き出し、それぞれ、アノード(陽極)、ゲート及びカソード(陰極)と呼ばれている。

 

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図3・10 サイリスタの構成

 

 

 

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