(4・4)式はEX−ORの性質から
D3X+DX+IX=0 (4・6)
と書き直せるのでXでまとめると
X(D3+D+I)=0 (4.7)
X・f(D)=0、ここで、f(D)=D3+D+I (4・8)
f(D)は符号発生器の伝達関数と呼ばれ遅延単位Dの多項式で表せる。
(4・8)式において、X≠0から符号発生の条件は伝達関数f(D)=0、となる。
f(D)=0又はD3+D+I=0 (4・9)
(4・9)式は(4・4)式の右辺を左辺へ移項したものと同じなので現在の符号IXは3ビット遅延したD3Xと1ビット遅延したDXとをEX−OR演算したものに等しいことを示している。
一般に遅延素子Dにシフトレジスタ電子回路が用いられる。シフトレジスタに初期条件を入れるとそれに対応した符号Xが発生される。図4・2の回路で3つのDの初期条件を左端D=0、2段目D=0、3段目(右端)D=1、すなわち
( 0 0 1 )
にセットしたとき発生する符合Xは
となりXは長さ(周期)7ビットの、(0011101)符号を発生する。
遅延回路からEX−ORへ取り出す端子の組合せにより異なる2元符号を発生できる。n個の遅延回路から取り出せる組合せは2n通りあるが、すべてが0となる符号を除くと2n−1、通りの符号が発生できる。この中で最も長い符号をM系列符号と呼ぶ。M系列符号は雑音と似た性質があるので、擬似雑音(PNコード)と呼ばれる。符号化レーダやGPSによる測位にPNコードが使用されている。PNコードは雑音や妨害に強いので携帯電話の符号分割多元接続(CDMA)方式にも使用されている。