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図2.12 非重要負荷の優先遮断方式例

 

図2.12はその系統の一例を示す。

なお、遮断器の電流対時間の設定値は、一般に、次の秒差が採用される。

重要でない負荷の優先遮断用遮断器は発電機定格電流の110[%]で、

第1段階に対して 5秒

第2段階に対して 10秒

第3段階に対して 15秒

優先遮断すべき具体的な負荷の選定は、船の諸装置がどうであるか、すなわち、発電機容量の余裕などによって異なり、一概に決定することは困難であるが、通常の貨物船にあっては、電力調査表から判断して、第1段階の遮断のみで充分な場合が多い。

非重要負荷の考え方は、各船級協会によってある程度の相違があるので注意しなければならない。たとえば、LR規格の場合、冷凍貨物装置に対する回路は最後の段階(第2段階又は第3段階)で遮断してよいことにしており、BVでは、場合によって照明装置を減らす手段を設けるように規定している。また、ABSでは、燃料油移送ポンプ、燃料油吸上ポンプ、消防兼用の雑用水ポンプ、ビルジバラストポンプ、ビルジ溜り専用でないヒルジポンプなどは重要負荷とみなして、それらの回路を遮断すべきでないと規定している。

上記の各事項は、発電機容量決定上重要な事項であるので注意しなければならない。

通常、優先遮断すべき装置としては、下記のものを選定するが、この際には発電気容量を勘案して決定すべきであり、船主並びに船級協会の承認を受けていることが必要である。

空気圧縮機、ウインドラス、バラストポンプ、清水ポンプ、飲料水ポンプ、空調用冷却機、賄室用諸装置、工作機など。

なお、空気圧縮機、ウインドラス回路を第1段階で遮断することは、出入港時における船の安全上より見て、絶対的に重要負荷と見なす考え方もあるので、注意しなければならない。一方、出入港時に揚貨装置に給電されていることもあるが、これらの回路は遮断すべきであるとの要求がある場合がある。しかし、木材運搬船において荒天時荷役装置を使用して船の安全を図っている場合には、これら装置の電源を遮断すべきでない場合もあるので、船主と充分な協議が必要である。

 

 

 

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