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したがって、給電回路の遮断器(又はヒューズ)と発電機用遮断器は時間的に協調がとれていることが必要である。たとえば、給電回路の遮断器が瞬時引きはずし特性をもっていれば、発電機用遮断器は短時限引きはずし特性をもつことが必要であろう。

給電回路に配線用遮断器(MCCB)が2段以上に縦続接続される場合、電源に近い遮断器ほど時限が長いことが望ましい。

 

(3) 後備遮断方式

選択遮断方式は、保護の目的からすれば理想的といえるが、高価額となるので、これに代わるものとして後備遮断方式がある。

後備遮断方式は、電源に最も近い遮断器(発電機用を除く)だけがその点での短絡電流以上の遮断定格をもち、それから負荷側の遮断器は、その点の短絡電流よりも小さな遮断容量の遮断装置で構成する保護方式である。

後備する遮断器は、後備される遮断器の動作より遅れないで、できる限り速やかに動作すべきであり、必然的に瞬時引きはずし装置をもつことになる。この引きはずし装置の設定は、後備される遮断器の定格遮断容量の90%以下とすることが望ましい。

後備遮断方式を採用する場合には、一般にNK規則で規定されているように、次の場合において負荷側の遮断器は過度の損傷を受けることなく引き続き使用し得るものでなければならない。

(a) 後備遮断器又はヒューズが短絡電流を遮断した場合。

(b) 負荷側の遮断器で短絡電流を投入し、遮断を後備遮断器又はヒューズで行った場合。この要求を満足させるためには後備遮断器又はヒューズと負荷側遮断器の組合せは、それぞれの遮断器の遮断時間又はヒューズの溶断時間を充分考慮して決定し、遮断試験によって有効に後備遮断が行われることを確認し、船舶に適用する規則の承認を得た組合せでなければならない。

例えば後備遮断器の遮断量が充分に大きな場合であっても定格電流容量、従ってフレームサイズが負荷の遮断器に比べて大きすぎると、後備遮断器の遮断時間が必然的に長くなるため、後備遮断器で短絡電流を遮断した場合、負荷側の遮断器が過度の損傷を受け引き続き使用出来なくなる場合がある。

また船舶に適用される規則によっては後備遮断方式が認められる範囲に制限がある場合があるのでこの点注意しなければならない。

 

(4) 優先遮断方式

船舶が航海中、運転中の発電機が過負荷になった場合、又は過負荷になる恐れがある場合、重要負荷への給電の持続を確保するため、重要でない回路を自動的に切り離し発電機の遮断器(ACB)がトリップし全給電が停止することを防止するいわゆる優先遮断方式を採用しなければならない。この具体的な方法としては、まず発電機電流を過電流継電器によって検出し、この継電器の限時動作を数段階に設定し、重要でない負荷を順次に優先遮断することが行われる。しかし、この方式は短絡などの大電流事故に対しては、正常な順序では期待できない。

 

 

 

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