例えば、f=60〔Hz〕、P=2とする三相交流発電機の駆動機の回転速度はNs=60×60=3600〔r/min〕でなければならない。
また、f=50〔Hz〕、P=4とする三相交流発電機の駆動機の回転速度は上式からNs=1500〔r/min〕となる。
励磁機は直流発電機であるため整流子を有する。整流子の保守やその他の理由から、これを排する方式が1935年ドイツシーメンス社のH.Harz博士により確立し、近年になってようやく実用化した。それは励磁機のような回転体をやめ、自ら発生した交流電源を半導体整流器を使用して直流に変換しこれを励磁電流に使用する交流発電機である。これを自励交流発電機といい、船舶用には専らこの発電機が使用されている。
また、励磁機は従来どおり残しておくがその中の整流子とブラシは前に述べたとおり保守その他の理由から、これを排しその代わりに半導体整流器を使用した励磁機の電源を交流発電機の界磁電源とする方式が近年中型以上の交流発電機に使用されている。これをブラシレス交流発電機という。
(3) 主軸駆動発電機
主軸駆動発電機(以下、軸発電機という)とは、専用の原動機を装備せず主機(推進用原動機)によって駆動される発電機である。軸発電機を実際に船に装備する場合には、設計上の問題、艤装上の問題など具体的な検討を必要とする項目が多く、またシステムの構成・配置・特性など種々異なったものが考えられるが、それらの中で比較的多く採用されているシステムの概要と特徴を以下に述べる。
(a) 定周波装置を装備しない軸発電機
これは、図4・5に示すように主軸から増速ギヤチェーン等を介して発電機を駆動し、出力をそのまま船内電源として使用するシステムである。この方式は各種の軸発電機システムの中でも最も簡単で、設備費も安く、採用しやすいシステムである。
しかし、この方式は、主軸の回転数が変動すれば、それに応じて発電機の出力周波数も変動するという欠点がある。すなわち、固定ピッチプロペラ(FPP)を装備した船では、荒天航海や出入港、減速運転などの場合には、発電機の出力周波数が変動もしくは低下して、船内電源としての質を維持できなくなる。