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ABB Azipod社は3年前に設立され、従業員は40人、設計および総務関係のオフィス(2階建て)と徒歩5分のところに組立工場がある。立地としてはすぐ横に港があり、トレーラを用いるが比較的簡単に工場出荷が可能とのことであった。

続いて当学会からは、幅田氏による学会紹介、松村氏によるLNG船の電気推進化のケーススタディー(写真9、文末の図6)、前原氏による船舶統合制御監視システムのプレゼンを行った。特に技術プレゼンではどちらのテーマも多くの質疑応答があり、アテンドしてくれた若手エンジニア・研究開発部のMattila氏も興味深く意見交換に加わった。

その後、工場見学へと移った。工場は6台のAzipodが組立てできるスペースと陸上試験場(回転試験)があり、14MW級が2基組立中であった。1基は旋回型、もう1基は固定型であった。この2基のAzipodは隣接するKvearner Masa造船所で建造のクルーズ船向けで、本船は3基が搭載され中央が固定型+プッシュ型、両舷が旋回型+プル型を採用しているとのこと。建屋の広さは目測で60m×30m×高さ30mで、天井がかなり高く感じられた。製品の工場内移動および出荷作業にはエアーリフターを利用していた。半ば常識的なことではあるが、写真撮影は禁止とのことで少々残念であった。

夏季休暇シーズン中にも関らずプレゼン・工場見学に対応戴いた両氏に感謝し、ABB Azipod社をあとにした(写真10)。

 

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写真10 玄関前にて

 

6. バルチラ社ヴァーサ工場(7月7日)

報告者・前原

 

早朝6時過ぎのフライトでヘルシンキよりヴァーサヘ移動した。曇天であったことも手伝い、ヘルシンキよりは肌寒く感じ、改めて北極圏に近い事を実感させられた。空港外の冷たい北欧の空気でやや疲れ気味の体をリフレッシュさせた後、最終訪問先となるバルチラ社へ向かった。

歴史を感じさせる工場に到着すると、コントラクトマネージャーのHalkivaha氏と、営業サポートエンジニアのKarlsson氏が我々を出迎えてくれた。名刺交換の後に、カンファレンスルームヘ案内され、バルチラ社概要説明があった。質疑応答の後、ビデオを用いたプレゼンテーションが行われ、バルチラ社の歴史や思想、そして最新のテクノロジー探究に対する姿勢などの紹介があった。一言で言うと“温故知新”これがバルチラ社の哲学であるように感じられた。

場所を移し幅田リーダーによる学会紹介が行われた。IMarEの活動内容との比較やISME TOKYO 2000、学会誌などについての質疑応答が行われた。更にはYME使節団の今後の継続や、学生会員の重要性などにも話しは及び、活気ある意見交換となった。続いて山磨氏による閉鎖水域攪拌浄化及び海洋肥沃装置についての技術プレゼンテーションが行われ、バルチラ側のみならず双方からの質問を交えてディスカッションを行った。

ここで研究室マネージャーのKytola氏が合流し、早速技術プレゼンテーションが披露された(写真11)。発表内容は現行ディーゼル機関の技術的内容の説明と、現在研究中の最新技術に関するものであり、その中でも特に、NOx燃焼に関する研究成果とダイレクトウォーターインジェクションに関する発表は我々の興味を引き、使節団員からも数多くの質問が出され、非常に有意義な意見交換となった。

 

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写真11 技術プレゼンの様子

 

 

 

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