日本財団 図書館


双方の質疑を終え、社員食堂にて一緒に昼食をとった。

午後からは、まず事務所の見学を行った。事務所内はセキュリティが行き届いており、設計者1名ないし2名毎に個室が与えられていた。また、事務所内の色彩も深い青、緑、赤色を用いて洒落た雰囲気となっており、日本のそれとは大きく異なった考え方に圧倒させられた。

次に、工場見学を行った。さすがに電子メーカーだけのことはあり、電子部品やコンピュータが所狭しと並べられていたが、同時にNORCONTROL社のトレードカラーであるブルーのIBS用コンソールも多く並んでいた。その後、機関部シミュレータの開発部署も見学させてもらった。同社では、世界の機関・カーゴ・ブリッジのシミュレータの6割以上を納入しているとのことであった。

最後に、同社から自動車で10分程の所にあるNorautron社を見学した。Norautron社ではNORCONTROLの電子部品を主に設計・製造しているメーカーである。従業員は200名程度で、最新の製造機器を導入して効率良く部品製造を行っていた。

その後NORCONTROL社へ戻り、今日一日の感謝を述べ、挨拶を交わし、ヘルシンキヘ向け同社を後にしたわけでであるが、世界的に有名な同社が北欧のこんな小さな所で設計から製造まで行っていることに大きな驚きとエネルギーを感じた訪問であった。

 

5. ABB Azipod社訪間(7月6日)

報告者・山磨

 

訪問先を決定するにあたり、1、2を争うようにABB Azipod社が決定された。これは電気推進が注目されている中で、特殊推進器メーカーの実状を見る好チャンスであったからと思われる。

フィンランド訪問はメンバーの皆にとっても初めてであった。OsloからHelsinkiまで飛行機で約2時間であったが、その間には高い山は無く岩と森と湖でいっぱいであった。連日夜間の移動でメンバーには疲れが見られ体調を崩す者もいたが、素晴らしい風景で回復した人もいたに違いない。

訪問の朝はメンバー一同、集合に遅れることなくホテルのロビーに集結してタクシーで出発。タクシーは猛烈な勢いで目的地に進んで行くが飛行機から見たような森に入って行き、このような所に工場があるのかと思った矢先、カーブを抜けると小さな港に出た。岸壁に進みABB Azipod社の看板が見えてホッとした次第である。Helsinkiの町中からはタクシーで20分程であった。

先ず、Lassila開発部長から旋回式プロペラ・Azipod Systemに関するプレゼンテーションがあり、構造・構成、有効性、納入実績等の説明があった。1990年にプロトタイプとしてWaterway Service Vessel (1,500kW)に納入してから2000年5月までの納入数は29ユニット(15隻)であり、主に砕氷船やクルーズ船に搭載されている。2000年以降も23ユニット(11隻)の製造予定があり、2003年には日本の造船所にも砕氷船アフラマックスタンカー(出力馬力8MW×2基)向けで納入予定とのことである。

 

005-1.jpg

写真9 技術プレゼンの様子

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION