このような施設が日本では船会社にあるとは聞いたことがあるが、素晴らしい教育設備であった。学内を案内して下さったシミュレーション施設長・Hindmarch氏は大変ユニークな人で、シミュレーション施設長でありながら舶用機器の陸揚げ品も教材として(?)たくさん集めており、事故があったら破損品をくれと言っておられた。
Discovery MuseumはNewcastleの歴史を展示した博物館で、世界初の蒸気タービン船を入口正面に据えていた。その船は3軸で1軸にプロペラが2個タンデムに取り付けられている面白いものであった。その近くには石炭燃料の蒸気タービン発電機も展示してあり、昔は最先端を走っていた様子が伺える。我々は舶用関係ということで1〜3階を見学したが、上の階には繊維関係等の展示物があるようである。Newcastleでも昔は大型商船、艦船等を建造していたようでありその模型や石炭関係設備の模型等が多数展示されていた。
最後は両氏にNewcastle空港まで送って頂いて記念撮影後お別れした(写真6)。
4. NORCONTROL社訪問(7月5日)
報告者・松村
朝8時、オスロ市内のホテルからKONGSBERG NORCONTROL社が手配してくれたタクシーに乗り込み、同社のあるHortenへ向けて出発した。タクシーには、KONGSBERG MARITIMEと社名が表示してあった。ここノルウェーではKONGSBERGは有数の企業であり、NORCONTROL社は制御装置、監視装置、IBS (Integrated Bridge System)、主機制御装置及び機関・カーゴ・ブリッジのシミュレータを製造しているメーカーである。
タクシーの窓から見える景色は、フィヨルド、ホルメンコレン・ジャンプ台など北欧を感じさせるものである。市内から30分ほど走ると、それまでの都会の雰囲気は消え、針葉樹林、フィヨルドの間をきれいに舗装された道路が一本続いていくのみである。オスロ市内から南方へ向けて走ること1時間15分程でNORCONTROL社に到着した。
辺りは民家も少なく、他に工場もない、緑一面の空気の良い田舎であった。到着後の第一印象は、世界的に有名な同社ではあるが工場は割とこぢんまりしていたと感じたことであった。
まず、セールス・マネジャのLauritzen氏が出迎えてくれた(写真7)。会議室にて挨拶を交わし、同社の簡単な説明を行ってもらった。従業員は520人で6割が設計関係に従事している。従業員の多くは自動車で1時間かけて通勤しており、同氏は白動車に加えフェリーも利用しているとのことであった。本工場にて、全ての機器の設計、製造を行い世界に出荷しているとのことであった。
しばらくして、3人の副社長、Munkvold、Fredrik、Hasasの3氏が加わり、自己紹介を兼ねた名刺交換が行われた。その後、MESJ側から当学会の紹介、原田氏によるADDエンジンの紹介(文末の図4)及び筆者(松村)からLNG船におけるBOG制御システムの紹介(文末の図5)を行い、NORCONTROL社側からは、最新の製品として、制御・監視装置、IBS装置、主機遠隔制御装置及びVDR (Voyage Data Recorder)を紹介してもらった(写真8)。終始和やかな雰囲気の中、活発な質疑が行われた。特に、VDRについては2002年のSOLAS改正により装備を義務付けられるものであり、既に商品化しているあたりはさすがに世界に展開しているNORCONTROL社であると感じた。