どちらも質疑応答が活発に行われたことから、日本の最新技術のアピールも充分に出来たと思われる。
プレゼン交換の後、3階にある図書室を案内して戴いた。事前に青木会長より「講義室と図書館の設備は凄いぞ」と伺っていたが、蔵書数・データベースそして雰囲気のどれも素晴らしいものであった。
続いて昼食会となり、イギリス風(?)パイ料理を戴きながら事務局長のRead氏・局長代理のLong氏そして前述のYMEリーダーJukes氏から、YME活動の詳細や学生の人気企業について伺った。日本のバブル期において理工系学生の進路希望に銀行・保険・証券などが増加したように、かつて英国でもメーカー離れが進み、その結果として造船所や舶用機器メーカーそして学会の若手構成人員は激減したが、今こうして若手層から学会を盛り上げようとしていることはMESJもIMarEも一緒のようである。しかしながら、YMEメンバーのうちの半数以上が大学院生や研究機関のスタッフにより構成されていることは意外であった。MESJのYME活動はこれからであるが、当学会との条件の大きな違いはここにありと実感した次第である。
最後に風格のある学会受付脇の階段で記念写真を撮り(写真4)、次の訪問先Newcastleへと向かった。
3. Newcastle訪問(7月4日)
報告者・原田
前日LondonからNewcastleへ移動したが本旅程中ここが最も寒かった。ISME TOKYO 2000の基調講演をお願いするNewcastle大学のRoskilly教授に当初はご挨拶する計画であったが、出張とのことでそれはかなわなかった。当日はRoskilly教授のStaffでYME North East Coast Branchの主力メンバーであるHarvey氏とTrent氏の2人に、Newcastle市東部にあるSouth Tyneside Collegeと市内のDiscovery Museumを案内してもらった。
South Tyneside Collegeは1861年創立のイギリスで最も権威のある、さまざまな海洋関係の資格がとれる単科大学で、4年制で通う学生とスキルアップを目指す社会人等が学んでいる。そこでは溶接、機械加工、電気配線、機関等の実習場(写真5)及び最新の船橋シミュレータ、機関制御室シミュレータ等を見学した。船橋シミュレータは偶然にも翌日訪問予定のNORCONTROL製で、船橋を模した部屋に本物と同様のコンソールがあり、実際に舵を切ったり調速レバーを動かすとコンピュータグラフィックスで映された景色やGPS・レーダーに示された位置が変化するようになっているもので面白いものであった。機関制御室シミュレータは機関制御室を模した部屋にコンソール等がおいてあり、教官により予めプログラムされたトラブルに対応する訓練を行うものである。より現場に近い状況で教育されるため、実際に現場で作業を始めたときの安全性から見ても望ましいものである。すべての課程がより即戦力に近い人材を作ることを目的としているのであろう。