第6回舶用機関国際シンポジウム 組織委員会委員長
佐藤準一**
1. はじめに
第6回舶用機関国際シンポジウム「ISME TOKY02000」は2000年(平成12年)10月23日から4日間に亘り東京都千代田区平河町の日本都市センター会館で開催され、盛況裡に終了した。本特集号は、今回のシンポジウムの要点をまとめてご報告するとともにシンポジウム開催に至るまでの経緯や今後の課題等を記録に止めて将来に資そうとするものである。
筆者はISME YOKOHAMA'95では福垣敦男組織委員長の下で実行委員長を、また本シンポジウムでは組織委員長を務めさせていただいた。すなわち、ISMEの企画から実施までの全課程を2度履修させていただいたことになる。この貴重な経験から得た教訓は少なくないが、大半は実行委員会等でご披露し、またシンポジウム開催にかかわる諸作業や日程等は大略前回と同様であるので、詳細は岡實実行委員長ほかの各論に譲ることとし、ここでは筆者が直接かかわった事項を中心にいささか随想的に述べる。
2. ISME2000の主テーマについて
ISME YOKOHAMA'95の主テーマは、ご存じの通り「より高い品質と信頼性を求めて」であったが、このテーマを選定していただいた頃、すなわち、1993年1月頃には今回のテーマについてもすでに若干の構想(キーワード等)を持ち合わせていた。したがって、それから約5年後の1998年5月7日に開催されたISME準備等打ち合わせ会では、二つの主テーマ:1]新技術の萌芽と開発を期待して、2]新技術の萌芽を期待して;を提案することができた。そして、最終的には1]を1字訂正して採用していただいた。
この主テーマを含めた1st Announcementが同年9月に出来上がり、関係先に配布した。同年10月には筆者がThe Institute of Marine Engineers(英国、略称:IMarE)を訪問したが、その際にもこれを持参して関係各位に手渡した。この時点での主テーマヘの関心はまずまずであったが、第1回組織委員会(1999年4月23日)以降しだいに好評との声が聞かれるようになった。これは、ひとえに実行委員会委員各位のご尽力の賜である。
3. マリンエンジニアリング山脈の征服を目指して
本シンポジウム開催に向けて諸作業が最終段階に入った2000年9月のある日、学会より開会式で述べる挨拶の原稿を提出するよう依頼があった。
そこで、間もなく迎える21世紀に「舶用機器システム等のマリンエンジニアリングに求められる課題」は、筆者が以前から掲げている五つの語群、すなわち、高品質・高信頼性・高安全性・低公害・低価格に集約できると考えて、これらを「三つの峰と二つの谷から成るマリンエンジニアリング山脈(以下、Mar.E.山脈と略記する)」に例えることにした。
そしてこの難所の多い山脈は、新技術の開発なくしては征服することが難しいので、今後会員諸氏と共に力を合わせて挑戦したいとの主旨を中心にまとめて学会に提出した。本誌別掲の「開会の辞」がそれで、本開会式を「山開き」の好機とみたからである。
*原稿受付 平成12年12月20日
**名誉会員 埼玉大学非常勤講師・東京商船大学名誉教授
(鎌倉市今泉台6-7-12)