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阿南消防組合消防本部(徳島県)

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当本部は徳島県南部海岸線の中心部に位置し、南は太平洋を臨み東は風光明媚な紀伊水道に接し、国定公園室戸阿南海岸の起点をなしている。また、四国の最東端蒲生田岬は、夏の夜大海亀がおとぎの国の話を運んでくれ、「日本一美しい青い海」で知られる北の脇海水浴場、一五〇〇年の歴史を秘める樹林に囲まれた四国霊場「大龍寺」等、阿南の地には美しい自然と温厚素朴な人情とロマンがいっぱいです。

昭和四〇年一月七日、阿南市消防本部として発足し、昭和五〇年四月一日阿南市、那賀川町、羽ノ浦町の一市二町で構成した阿南消防組合は、現在は八九名の職員、一署二出張所で管内面積二八〇km2に住む約八二、〇〇〇人の安全を日夜守っている。

平成一二年度に消防庁舎建設用地及びヘリポートを備えた広域避難地用地として、一七、一〇五m2を確保し、一三年度に耐震計画基準を準拠した地域の防災拠点となる庁舎建設に着工、一四年度に緊急通信指令システムの整備をし、一五年春には消防庁舎・避難地の完成、一六年春には訓練棟の完成を目指している。

★管内の特性

管内には製紙工場、化学工場、火力発電所等の大規模工場がありその一部は石油コンビナート等特別防災地域の指定を受けている。加えて電源開発と四国電力による国内最大級の石炭火力発電所が昨年末に建設されるなど、ひとたび事故が発生すれば大災害になる可能性も高い。当本部は、大型高所放水車、大型化学車、泡原液搬送車の三点セットを配備し、平成一一年に大型救助資機材を初め夜間用暗視装置、熱画像直視装置及び水陸兼用簡易画像探索機等を備えた救助工作車、平成一二年には水路配管を装備した三〇メートル級梯子付き大型高所放水車を導入して防災体制の強化を図っている。

★救急業務高度化の確立をめざして

救急件数は二〇〇〇件余りであり、三台の救急車で対応していたが管内は広大で、山間部が多く二六分も要する所があり、住民による救急救命率の向上を図るため、救命講習会を毎月一回定期的に実施、指導計画を作成して住民への応急手当の普及啓発に取り組んでいる。現在は救急救命士六名で対応している。本年度から年二名の救急救命士の養成、高規格救急車の増車及び救急隊員に対する高度な教育訓練、並びに医療機関との連絡体制の強化等救急業務の高度化を図っている。

★腹話術による防火普及

幼年期からの防火教室に主眼を置き、予防課の職員が腹話術による防火教育を管内の保育所(写真)幼稚園を対象に実施している。入所、入園時期には各保育所、幼稚園からの要請をうけ引っ張りだこの状態である。人形の名は「消防の消ちゃん」と名付けられ職員も「消ちゃん」と共に頑張っている。

★三位一体の協力体制造りを

井口消防長は、「一段と社会経済が大きく変貌する中で、高齢化等の社会事象に加え国の行政改革と次々と消防行政に新たな課題が提起されるなど消防行政を取り巻く環境は一段と厳しくなると考えられるので、時代に見合った組織機構、新しい視点での事業の展開が必要である。特に各関係機関と地域住民及び企業がそれぞれの役割分担を明確にした、「三位一体」の協力体制を実施する総合的なシステム造りを進め、職員が一丸となり、市民ニーズを的確に把握した質の高い消防職員として創意工夫と自己研鑚に励み住民の信頼と期待に応える職場づくりを推進していきたい。」と結ばれた。(飯塚文治)

 

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