日本財団 図書館


この間、救急隊(隊員三名のうち二名が救急救命士)は要救助者の症状観察(脈拍、血圧、血中酸素飽和度、心電図測定)を行うとともに、酸素投与を実施し要救助者の症状悪化を防いだ。

また、増強した消防隊は公園内に多くの住民が駆けつけていたことから、消防警戒区域の設定を行うとともに、照明活動や資機材搬送等の救助活動支援を実施した。

 

おわりに

本事例は事故発生原因が軽易であったにもかかわらず、事故発生から通報までにかなりの時間があり、その時間経過が要救助者の状況を悪化させ救出を困難にしたものであります。

結果として、破壊器具の活用により救出することができましたが、破壊による救出は二次災害の発生危険も高いことから出来れば避けたい救出方法であり、今回の事例は挟まれ事故の救出方法等について多くの課題を残した活動でありました。

なお、救出した女児は経過観察のため一日入院し、その後は元気に小学校に通っております。

(坂倉啓史)

 

予防・広報

くらしを守る安全なまちをめざして

大和市消防本部(神奈川)

 

当市は、神奈川県のほぼ中央に位置し、都心から四〇km圏内に位置し、市域の面積は二七・〇六km2で、南北に細長く丘陵起伏のないほとんど平坦な地形です。

道路網は、日本の動脈である東名高速道路、国道一六号線、二四六号線が縦横に走り、鉄道網も市の中央を東西に相模鉄道、南北に小田急江ノ島線、北部には東急田園都市線が乗り入れられ交通の便は非常に恵まれています。

人口は、約二一万三千人、八四、六二五世帯、人口密度は一km2に七、八六九人で県下では川崎市に次いで二番目の高さです。

このような過密化した市街地の西側には日米共同使用の厚木航空基地が所在し米空母の艦載機による夜間離着陸訓練(NLP)による騒音が大きな問題となっています。

また、昨年一一月一日には、地方自治法の改正に伴って創設された「特例市」の指定を全国に先駆けて受けています。

当消防本部は、昭和三九年に発足し、消防体制は一本部・一署・二分署・二出張所で構成され、職員二二四名を配置し消防業務を展開しています。

予防活動は「くらしを守る・安全なまちをめざして」消防イベント等の機会を捉え市民、事業所、行政が一体になり予防、広報活動を次のように展開しています。

 

一 自主防災組織活動

東海地震、南関東地震(相模トラフ・首都圏直下)、神奈川県西部地震の発生が予測されている地域のため、住民の防災意識も比較的高く自主防災組織の結成率は九四%に達しています。活動は「自分たちの町は、自分たちで守る」を合言葉に、災害時の初期消火、救急応急手当、救出、避難の訓練、災害後の避難所活動を、消防署、地元消防団が指導にあたり、体験訓練を主眼に防災意識の充実強化と隣保互助精神の涵養を図っています。

 

二 少年消防団活動

少年消防団は平成五年四月に、小学生四・五・六年生四二名を対象に設立しました。

活動内容は、入団式から始まり礼式、消防・救助・救急訓練、災害キャンプ、父兄と一緒のクリスマス会に日頃の訓練成果を発表、またイベントは市民まつりパレード、春・秋の火災予防運動期間における「拍子木による夜まわり」「山林の山火事防止看板掲示」「防災・消防フェアでの広報活動」「消防出初式のミニ消防車行進、消防演技」を実施し最後に卒団式を迎え、一年間の少年消防団活動を修了します。少年達の一生懸命な防火意識の高揚を図る姿により、火災予防の普及啓発に大きな貢献を果たしていると考えています。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION