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その間、女児の足が煙突下部の遊具内で宙に浮いた状態であったため、駆けつけた男性により女児の足の下にバケツとブロックが敷かれ女児の体重が下方に掛かることを防いでいた。

 

四 遊具の構造

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五 救出活動

出動指令により救助隊一隊、救急隊一隊が出動、一八時二八分現場到着した。

現場の状況は女児(以下「要救助者」という。)が煙突の筒の内部に入り込み出られない状況で意識ははっきりしていた。

要救助者の足がバケツとブロックで既に支持されていたことから、救助隊、救急隊合同で煙突上部から人力により引き抜こうとしたが要救助者が大腿部に痛みを訴えたので上方のみからの救出を中止し、次に要救助者の足を支持しているバケツとブロックを除去し、要救助者の足の下に救急隊員をうつ伏せで進入させ救助隊員の背中に要救助者の足を乗せ、救助隊員の背中を押し上げる腕力と要救助者の足の力により救出を試みたが救出不能であった。

また、要救助者の下肢がうっ血により膨張しており、人力により無理に救出した場合、要救助者の大腿部等に損傷を与える可能性があることから人力による救出を断念した。(石鹸水やフィルム等を活用した救出については、コンクリートに挟まれていることや衣類を着用している部分も挟まれていることから実施しなかった。)

このような状況から、活動方針を遊具の破壊とし消防隊一隊の増強出動を警防本部(情報指令室)に要請した。

遊具の破壊については、要救助者への二次災害防止を最優先とするため煙突が取り付けてある台座部分から破壊することとし、要救助者を毛布等で保護した後、削岩機とエンジンカッターで煙突の付け根まで台座を破壊し煙突の付け根周囲を削岩機で破壊した。その後、破壊した煙突の付け根部分と台座の間に油圧スプレッダーを挿入して煙突を台座から切り離した。

この時点で要救助者を遊具から救出できると思い、要救助者を人力で上方に引き抜こうとしたところ台座からは救出できたが、煙突部分から引き抜くことができず、要救助者に煙突を付けたまま救出し要救助者を地面に仰向けに寝かせた。

次に要救助者から煙突を取り除くため、油圧カッターで煙突の下部から順次破壊し、破壊したすき間に油圧スプレッダーを挿入して煙突を押し開け、挟まれている状況が取り除かれた時点で人力により要救助者を煙突から引き抜き救出した。

 

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