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ワンポイント

消防職員のための法令解説

 

成年後見、保佐、補助制度(二)

 

五 補助制度

民法改正により、補助の制度が設けられた。

その内容は、次のとおりである。

(1) 補助開始の審判を受けた者を、被補助人とし、これに補助人を付すこととなった(民法一四条一項、同法一五条)。

(2) 補助開始の審判は、本人の申立て又は本人の同意を要件として、次の(3)の同意権付与の審判又は、(5)の代理権付与の審判と共にすべきである(民法一四条二項、三項)。

(3) 被補助人(本人)の申立て又は被補助人の同意を要件として、当事者等が申し立てた特定の法律行為について、補助人に同意権又は取消権を付与することができる。

特定の法律行為の範囲は、保佐人の同意事項に定める行為の一部に限る(民法一六条一項、二項、四項、同法一二〇条一項)。

(4) 補助人の同意を得なければならない行為を、被補助人(本人)が補助人の同意又はこれに代わる家裁の許可を得ないでしたときは、被補助人又は補助人において、当該行為を取り消すことができる(民法一六条四項、同法一二〇条一項)。

(5) 被補助人の申立て又は同意を要件として、当事者等が申し立てた特定の法律行為について、補助人に代理権を付与することができることとした(民法八七六条の九)。

 

六 家庭裁判所の審理

家庭裁判所(以下「家裁」という。)は、後見開始、保佐開始又は補助開始の審判をするときは、職権で、成年後見人、保佐人又は補助人を選任する(民法八四三条一項、八七六条の二第一項、八七六条の七第一項)。

 

七 成年後見人等の選任

家裁が適任者を、成年後見人等に選任することができるようにするため、配偶者が当然に成年後見人等となる旨を定める従前の規定を削除し、成年後見人等に複数の者又は法人を選任することができるようにするため、規定の整備をした。

そして、選任にあたり、家裁が考慮すべき事項を明記した(民法八四〇条、八四三条、八五九条の二、八七六条の二)。

即ち、民法八四三条四項の規定により、家裁は、成年被後見人の心身の状態、生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業、経歴、並びに成年被後見人との利害関係の有無、成年後見人となる者が法人であるときは、事業の種類、内容並びに法人、法人の代表者と成年被後見人との利害関係の有無、成年被後見人の意見、その他一切の事情を考慮することとしている。

そして、複数の成年後見人の選任が認められることとした(民法八五九条の二)。

 

八 成年後見人等は、その事務を行うにあたり、本人の意見を尊重し、その心身の状態及び生活状況に配慮しなければならない(民法八五八条、八七六条の五第一項、八七六条の一〇第一項)。

 

九 成年後見監督人に加えて、保佐監督人及び補助監督人の制度が設けられた(民法八四九条の二、八五二条、八七六条の三、八七六条の八)。

 

全国消防長会顧問弁護士 木下健治

 

 

 

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