三 高齢者世帯の防火対策
当市も全国的な傾向と同様、年齢層が逆ピラミッド型に近づき年々、高齢者世帯が増えるとともに独居老人世帯も増えているのが現状です。平成三年に出された消防庁長官通達の「住宅防火対策の推進」に基づき火災予防運動時の中心的課題として行事を行なってきました。住宅防火モデル地区を重点に、地区内に住む高齢者世帯に町内会と合同で「防火訪問」を行い、一軒当たり約三〇分掛けてじっくり家人と向い合い、世間話や昔話等をしながら、「住宅防火診断」の問診票を作り、火災時の避難や町内会としての対応を確認するなど消防を身近に感じてもらうことが防火の一歩であるとの認識に立ち実施しております。また、聞き取りした問診は、パソコンで判定を行い町内会に送付して各家庭に持参してもらい防火の確認と連携を図っております。
四 若々しい女性消防団員の活躍
当市の消防団に平成一一年新たに、女性消防団員が誕生しました。活動を開始してからまだ日が浅いとはいえ、広報活動に女性が加わることは、従来からの活動と合わせ新たな活動に「優しさと繊細さ」が加わることとなり、市民にとって大変有意義な結成であったと考えられます。従来、男性職員のみで行なっていた広報活動が、地域と密着した消防団に女性団員が誕生したことにより、きめの細かい指導が期待できるものとなりました。
団員は、現在一五名ですが年齢平均が二七歳と若く、溌刺としており機敏な行動や火災予防に対する取組が真摯であることが、住宅防火訪問した各家庭でも大変な好評と好感を持って受け入れられています。
また、消防団が結成している「消防まとい隊」の「はしご乗り」にも果敢に挑戦して、立派にその技をこなしている姿は、当市の火災予防広報に果たす役割はもとより、市民からの期待が大きいことを感じさせます。
五 広報媒体の活用
市民が作るミニコミ紙や市街地に流れている街頭放送などを積極的に活用した広報、当本部が毎年作成する広報紙、消防協力団体が作る機関誌等のおたより紙などを活用した広報で防火の呼び掛けを行なっています。その他各町内会発行の広報紙に掲載し、広く市民に防火の輪を広げることを念頭に置いて行なっております。また、消防車両による「火の用心」夜回り広報は、各管轄内を対象に夜間、就寝前に火の元点検を呼び掛け防火の徹底を図っています。
六 出初式で防火展開催
出初式を広く市民に開放し多くの市民参加の場とすることから、会場となる苫小牧市民会館ロビーを利用して「住宅防火」を中心として、昨年の有珠山噴火の写真パネルや防災関連グッズの展示、防火映画の上映コーナー等を設けた「防火展」を開催し、訪れた多くの市民の注目を集めました。
おわりに
一件でも火災を少なくしようという気構えで取り組む予防広報活動ですが、遠くから聞こえてくる消防車のサイレンを聞くたび、この寒空の下焼け出される被災者の心情を考えると居たたまれない気持ちに駆られます。
予防の使命は、「火災の恐さ、悲惨さを知らせ日常生活の中で、火災を起こさない」という気持ちを持続させることです。そのことが火災の減少につながり、ひいては安心して暮らせる街、災害のない街、快適に過ごせる街になると考えます。「火災のない街」を造る原点は、家庭の防火です。今一度、原点に戻りこれからも住宅防火対策の推進に努めていきたいと考えます。(松村弘)