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六 活動状況

通信指令課の「建物火災第二次出動」の指令書に基づき、豊橋市南消防署指揮車ほか一〇台が出動した。

最寄りの南消防署大清水出張所タンク車分隊から炎上火災の報告を無線で受けた現場指揮者は、延焼拡大のおそれと救助隊の増強が必要と判断、三時四〇分第三次出動を要請、豊橋市中消防署救助工作車ほか三台、さらに特命出動指令により二台の計一七台の消防車等が出動した。

築後四七年を経過した木造建物の延焼のスピードは早く、瞬く間に建物の西側の本館を猛火に包み、東側の第一病棟に迫っていた。到着した消防隊は建物の東側と南側に筒先を集中し、第一病棟への延焼阻止を図った。

また、当直看護婦より「病棟にまだ入院患者が残っている」との情報を得た救助隊は、第一病棟に残る患者二名、第二・第三病棟の二名を消防団員の協力のもと、濃煙迫るなか担架搬送等により救助し、入院患者一五名全員の安否を確認した。

その後、入院患者を現場の西三〇メートルにある豊橋市立家政高等専修学校内に設置された救護所に収容した。

一方、西北西六メートルの風にあおられた火炎は、第一病棟二階をほぼ全焼し、さらに東側に隣接する第二・第三病棟との渡り廊下に迫っていたが、懸命の防ぎょ活動の結果、五時五二分火勢を鎮圧し、六時〇二分鎮火に至った。

 

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七 あとがき

本火災は、深夜で、しかも木造の病院で発生した火災であったにもかかわらず、人的被害のなかったのは幸いであった。

しかし、当直者の初期の対応が十分にとられなかったことが、火災の拡大の要因を作ってしまったと考えられる。

今後も、夜間の消防訓練の実施等防火指導を強化し、病院・福祉施設の防火管理体制の確立に取り組んでいきたい。

(石黒宏樹)

 

救急・救助

携帯式救急画像伝送装置の運用について

土浦市消防本部(茨城)

 

はじめに

当市は、首都東京から北東へ六〇kmに位置する人口一三万六千人、面積九一・五五km2、県南の商業都市である。東に本県を象徴する全国第二位の広さを持つ霞ヶ浦や河川を有する水辺のまちであることから、過去には数多くの水害を経験したが、今日では、水害をはじめとする自然災害はもちろん、さしたる人的災害もなく、自然と都市が調和した安全で便利で住み心地の良い地域である。また隣接のつくば市には、国の科学研究の拠点や関東平野に屹立する筑波山がある。

 

一 救急業務を取り巻く環境

出場体制は、予備車を含む高規格救急車六台を五署所に配置、救急救命士一〇名と救急隊員がこれを運用している。平成一一年中の救急需要は、人口一万人当たりの全国出場件数を僅かに上回る三二三・一件。平均現着所要時間は四・六分、平均医療機関収容所要時間二〇・〇分は、整備された出場体制と相まって、傷病者を容易に収容できる充実した医療機関に恵まれた証左でもある。特に三次医療機関の土浦協同病院との連携は緊密で、昭和六二年には、全国で初めて救急心電図無線伝送システムを構築し、平成六年には、救急車内に固定したビデオカメラからの映像を同病院に伝送する静止画像伝送システムを導入、更に平成一一年九月からは、携帯電話のデジタル化を機に、救急車の内外から静止画像を伝送する携帯式救急画像伝送装置を開発し、運用しているので紹介させていただくことにする。

 

 

 

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