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火災

深夜の病院火災

豊橋市消防本部(愛知)

 

はじめに

豊橋市は愛知県の東南部に位置し、東は弓張山地を境に静岡県と接し、西には国定公園に指定されている三河湾と七年連続輸入自動車台数・金額とも日本一の豊橋港を擁し、南は太平洋に面するなど温暖な気候に恵まれています。

この地方は、かつて穂国と呼ばれ大化の改新のころ三河国に統合され、鎌倉時代に豊川河口に橋が築かれ今橋と名付けられました。その後、吉田に改められ明治二年には吉田藩は豊橋藩に、そして、明治三九年八月一日愛知県下二番目の市として産声をあげました。

戦前戦中には蚕糸の町、軍都として知られ、戦後においては、産業基盤の強化、生活環境の整備充実を着々と進め、東三河地域の中心都市、さらには、三遠南信地域の拠点都市として躍進を続け、平成一一年四月一日「もっと豊橋ずっと豊橋」をキャッチフレーズに中核市として一歩を踏み出しました。

消防体制は、一本部、二署、二分署、四出張所、職員数三一一人で各種災害に対処しています。

ここに紹介する事例は、深夜に病院の物置より出火、隣接する木造の病院一棟を全焼した火災であります。

 

一 火災の概要

出火日時 平成一二年二月二九日 三時一三分頃

出火場所 豊橋市老津町字的場一六〇番地

覚知時刻 三時二五分

鎮圧時刻 五時五二分

鎮火時刻 六時〇二分

気象状況

天候 晴

気温 マイナス一・〇℃

湿度 五九%

風向 西北西

風速 六m/s

被害状況

全焼二棟

焼損面積 七三三m2

損害額 五二、五一三千円

出火原因 不明

出動車両及び人員

消防署 一七台 五三台

消防団 一五台 一六一名

 

二 付近の状況

現場は、本市南西部の広陵と田畑が広がり、ビニールハウスと農家が点在する農村地帯で、付近は道路幅員が狭いうえ、傾斜地が多く、大型消防車両の進入が困難な地域である。

 

三 病院の概要

出火した病院は、内科・外科・整形外科を診療科目とし、病棟のベッド数九九床を有する病院である。

病院の主たる建物は、本館・第一病棟と病室のみの第二・三病棟(一階が第二病棟、二階が第三病棟)の二棟で、いずれも昭和二八年に建築された木造瓦葺二階建の建物である。

出火当日の入院患者は、自力避難困難な患者五名を含む一五名で、夜間の当直体制は看護婦二名のみであった。

 

四 発見通報初期消火の状況

当直看護婦が午前三時の定時巡回中に、本館・第一病棟に隣接する物置内が燃えているのを発見し、消火器と水バケツで消火を試みたが消火しきれず、本館・第一病棟へ延焼拡大、看護婦がナースステーションに戻り、一一九番通報した。

 

五 入院患者の避難状況

本館・第一病棟に五名、第二・三病棟に一〇名の患者が入院しており、本館・第一病棟の入院患者のうち三名は自動火災報知設備のべルで火災に気付き、自力で避難した。

また、本館・第一病棟の風下でしかも高所に位置する第二・三病棟の患者八名も自力及び看護婦の誘導で避難した。

 

 

 

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