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おわりに

今回の事例における災害現場は、過去の水防訓練で救助訓練現場として利用した場所であり、各隊員が現場の水位、流速など状況を把握できていたため、適切な救出法の選定および組織的な救助活動が安全、確実、迅速に実施できたものである。

当管内では例年、山岳地での山岳救助、行方不明者捜索および海、河川での水難救助と特異環境下での救助事象が少なくなく、このような救助活動では思いも寄らぬ障害が我々の行動を妨げることとなる。

我々は、今後もあらゆる自然を舞台とした訓練を積み重ねていくことにより、災害現場における危険要因を敏感に認識できる感性を磨き、危険な状態を回避、克服しながら行動できる知識、技術の向上をめざしたいと考えている。(加藤克徳)

 

予防・広報

火災予防は「出会い」と「ふれあい」から

飯塚地区消防本部(福岡県)

 

はじめに

当消防本部は、飯塚市、山田市、嘉穂郡の二市八町で構成し、昭和四五年に発足した組合消防です。福岡県のほぼ中央に位置し、旧長崎街道であった国道二〇〇号線と国道二〇一号線が交差した交通の要衝をなしています。

地形は、いくつもの小盆地が重なりあった複合盆地帯で、盆地と丘陵の間をぬって樹枝状に大小の河川が北流し帯のような沖積平野となり、筑豊盆地の一部を形成しています。

管内人口は約二〇万三千人、七万八千世帯、管轄面積三七〇km2で消防体制は、一本部三署八派出所で構成され、職員二三六名を配置しています。

予防広報については、あらゆる機会を捉えて住民と直接ふれあう、コミュニケーションを大切にした広報活動に取り組んでおり、主な活動や行事は次のとおりです。

 

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一 幼年消防クラブ活動

平成二年に二九クラブ二、五五八名で設立した飯塚地区幼年消防クラブは現在、管内の幼稚園、保育園四九クラブ三、五〇九名の組織に拡大しました。

平成八年から隔年毎に、幼年消防クラブの健全な育成とクラブ相互の親睦を深めるため、クラブ員が一堂に会して署員とともに消防にふれあい体験する「幼年消防ふれあい祭り」を開催しています。

市民体育館で実施する第一部では、参加者全員がそろいの防火法被を着ての入場行進のあと、クラブ員の大きな声での合唱と、「火遊びは、絶対しません」の誓いのことばや救助訓練展示を行い消防とふれあっています。

第二部は「ふれあい広場」での消防体験です。署員の手作りによるミニ消防車三台の試乗体験をはじめ、消火器ボーリング、消防輪投げ、バケツリレー、消防車綱引き、放水体験、消防つりぼり、消防車両乗車等自分の目で見て触って体験するコーナーで、クラブ員は動物のぬいぐるみや署員とともに、にぎやかな笑い声と歓声をあげて消防とふれあいます。このように幼児期における防火の大切さと幼児を通じての家庭内での防火意識の高揚を図る予防広報を展開しています。

そのほか、幼稚園、保育園に対する定期的な避難訓練をはじめ、季節の行事を捉えた「防火豆まき」「防火サンタクロース」「防火餅つき」「防火パレード」等を署員の創意工夫により積極的に実施しています。園児が防火に対する興味と関心を持つことにより、火事や煙の怖さと正しい火の取扱いに対する習慣を身につけた社会人となることを願って指導に取り組んでいます。

 

 

 

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