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一 事故の概要

1] 発生日時

平成一二年九月一〇日一〇時〇〇分頃

2] 発生場所

村上市泉町地先(三面川 中洲)

3] 覚知時間

一〇時一〇分

4] 覚知内容

駆け付けにより

「すぐそこの三面川の中洲で、釣り人が増水で戻れなくなっている。」

5] 現場到着

一〇時一四分

6] 救出完了

一〇時三四分

7] 要救助者

男性 六七歳

8] 出場車両・人員

救助隊(救助工作車)四人

 

二 事故発生の状況

事故当時、雨が前夜から降り続き、大雨洪水注意報が発令されていた。特に現場の上流部では六時から九時にかけて強く降り、上流にある三面ダムは九時に放流を開始した。

この気象状況の中、釣り人は六時頃浅瀬を歩いて中洲に渡り(水位約六〇cm)、鮎釣りに興じていた。そして八時四〇分に吹鳴したダム放流の予告サイレンで川の増水に気づき、もと来た浅瀬を渡ろうとしたが既に水位は一mを超し渡れる状態ではなかった。

 

三 現場到着時の状況

一〇時一四分、通報者の誘導で現場到着し、河川敷護岸から約二〇m先の中洲に要救助者を確認した。現場流域は普段でも二m以上の水位があり、下流域のため激流ではないが普段より一m以上増水した濁流となり流速も増していた。また九時に三面ダムが放流したことを考えると今後さらに増水し中洲が水没することが予測され、一刻も早い中洲からの救出を強いられた。

 

四 救助活動状況

他の釣り人からの情報で、要救助者は現場近くに居住する男性で難聴であることを知った。拡声器で要救助者に救出方法を伝達することができず、時折、中洲から脱出しようと濁流に入る気配を見せるため、まず要救助者の確保を優先することとした。隊員一名がウェットスーツを着装、比較的流れの緩い上流部からエントリーし、中洲上流の浅瀬に泳ぎ着き、要救助者を確保した。

救出方法は、中洲にブリッジ線を展張するに適当な支点が見当たらず要救助者に怪我などもないことから、要救助者に救命浮環を保持させ護岸に救助ロープで引き寄せることとし、その旨を隊員を介して要救助者に伝え救出準備に取り掛った。

護岸から救命索発射銃でリードロープを発射し、中洲の隊員がリードロープを手繰り寄せ、救助ロープを結着した救命浮環を中洲に渡した。救命浮環の直近に救出ロープで要救助者を確保するための輪を作成し、要救助者の脇の下に通して救命浮環を胸部に保持させる。護岸では柳の立木に一ヶ所支持点を取り隊員一名腰確保で救出準備完了した。その後、要救助者を中洲から川の流れに送り出し、立木の支持点を支点とする振り子の要領で護岸に引き寄せ救出した。

 

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