火災
火災現場での感電
習志野市消防本部(千葉)
はじめに
習志野市は、千葉県の北西部に位置し、船橋市、八千代市、千葉市に囲まれ、南側に東京湾を望み、南北に細長く平坦な地形で、面積二〇・八一km2、人口一五万人を有し、県内で二番目に面積の狭い市であり、人口密度の高い住宅型都市である。
また、市内南西部にある「谷津干潟」は、東京湾に残された数少ない干潟であり、平成五年には水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約「ラムサール条約」に登録されている。
当消防本部は、一本部、二署、三分遣所、職員数一九八名で防災の任にあたっている。
ここで紹介する事例は、四階建て共同住宅の二階から出火した火災現場で、活動中に発生した消防職員の感電事故である。
一 火災概要
(1) 出火日時
平成一二年六月二日 一五時三九分頃
(2) 出火場所
習志野市泉町
(3) 覚知時間
一五時四四分(一一九番)
(4) 鎮圧時間
一六時一一分
(5) 鎮火時間
一六時三九分
(6) 気象状況
天候 曇、風向 南東、風速 七・四m/s、気温 二三・五℃、湿度 五三・五%
(7) 被害状況
ア 人的被害 負傷者二名(占有者一名 消防職員一名)
イ 焼損物件 鉄筋コンクリート四階建て共同住宅一棟(八四二・五三m2)
ウ 焼損面積 三八m2(一世帯全損)
エ 損害額 七、四四五、〇〇〇円
(8) 出動車両及び人員
消防署 一二台 四三名
消防団 八台 六一名
二 出火建物の概要
火災建物は、昭和四六年八月に建築の鉄筋コンクリート四階建て共同住宅、延べ面積八四二・五三m2、全一六戸のうち一一世帯が入居し、出火室である二階二〇二号室の居住者二名のうち一名は勤めに出ており、他の一名が在宅していた。
三 事故の概要
(1) 出場途上の状況
平成一二年六月二日一五時四四分建物火災の一一九番通報を受け、指令課は中高層建物第二出場を指令した。
現場は、隣接する船橋市との市境近くの第一種中高層住居専用地域で、出火建物の周辺は四階建て以上の共同住宅が六棟あり、また通報者の出火建物名称等が違うなど、出場途上の車両からは黒煙が薄くたなびいているだけで、出火建物に接近するまで状況確認ができなかった。
(2) 先着隊現場到着時の状況
現着時の状況は、四階建て共同住宅東側に位置する二階北側窓一ヶ所及び南側ベランダから火煙が噴出しており、建物南側芝生に男性一名が左足を負傷して立っているのを発見したため、直ちに救急車に収容した。
この関係者から情報を得ようとするが「二階ベランダから飛び降り負傷した」と話すだけで、他の情報は得られなかった。