当本部は、兵庫県のほぼ中央部に位置し一市四町からなる組合消防であり、東経一三五度と北緯三五度が交差して日本の中心地点にあたる「日本のへそ」のまちとして有名な西脇市、天下の名紙と呼ばれた「杉原紙」の産地である加美町、酒米「山田錦」のふるさとである中町、「敬老の日」発祥の地として知られている八千代町、及び肉牛の生産で有名な黒田庄町で構成され、人口約七三、四〇〇人、面積三一七・一六km2を管轄している。
当地域は一級河川の加古川とその支流である杉原川、野間川の流域に開けた、東西二四km、南北二八・五kmのL字型の地形であり、気候は瀬戸内型と内陸型の両面を有し、気温は温暖、年間降水量も一、二〇〇ミリ前後、肥沃な土地に恵まれた農業地帯を形成している。一方、二〇〇年の歴史を誇る織物繊維工業「播州織」と伝統的な技法に支えられた釣針産業を基幹産業とし、現在ではこれらに追随し農林業、畜産業が躍進するなど発展が目覚ましい。
消防本部は、昭和五五年四月一日に発足し、社会情勢に即して組織変革を行いながら、現在一本部・一署二分署・三駐在所、消防職員七八人と五消防団、二、四一六人の消防団員とともに一致協力し、地域住民が「安全で安心して暮らせるまちづくり」に努めている。
★精力的に訓練を推進!
本年、防火衣が老朽化したことにより、機敏に活動できるセパレーツ型に更新したことによる着装訓練にはじまり、毎年、実戦操法大会、救急技術大会等を開催し、外部的には消防団や近隣消防本部との大規模な合同訓練を計画的に実施している。なお、管内の消防団が兵庫県の消防操法大会で優勝し、全国大会に出場するなどレベルが高く、消防職員も夜遅くまで操法の指導にあたるなど、精力的に各種訓練を推進している。
★「心疾患等の登録制」を実施!
当本部は、心臓疾患等の人を対象に「心疾患等の登録制」を実施している。これは、一一九番での救急要請時、心臓疾患等の人の事情を聞くのに時問を要すること、また、管内に居住する心臓疾患等の人達の声を反映して、平成元年一月から当該登録制の運用を図り、登録番号を聞くだけで救急出動できるようにしている。地元の医師による罹患者に対する当該登録制の情報提供により、平成一二年一〇月一日現在の登録者は九三名であり、各登録者の既往症、かかりつけ病院等の情報を管理することによって、救急業務の充実強化を図っている。
★救急体制の整備!
平成一一年の救急出動件数は一、六八〇件で、現場到着までの平均時間は六・三分である。しかし、管内にはさらに遠隔の地も数多くある。また、救急事象は毎年増加傾向にあり、地域住民の安全・安心を希求している観点から、組合構成の市町単位に救急車を年次的に計画配備していくことが決定し、平成一二年度から三カ年計画で救急車未配備の三町に救急車を配備することにした。しかし、景気低迷で地方財政も逼迫していることもあり、二四時間体制で実施したい強い願いもあるが、当分の間、昼間のみの体制でスタートしている。
★消防のプロとして!
藤原消防長は、「新しい「消防力の基準」が示されたが、対応する人員の確保は、厳しい財政環境の中にあってなかなか容易ではない。このような中にあって、消防需要に応えていくためには、現消防職員が今以上に自己研鑚に励む必要があるし、必然的に少数精鋭で対処していく心意気を持つことが求められ、また、消防団との連携を今以上に強化していく必要がある。我々の仕事は、地域住民から消防に関する業務を負託されているのだということを肝に命じ、消防のプロとして信頼されなければならない。」と述べられた。
(高田利広)