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ワンポイント

消防職員のための法令解説

 

情報公開法(八)

 

二三 第三者に対する意見書提出機会付与

開示請求に係る文書に第三者に関する情報が記載されているときに、その文書が開示されてしまうと第三者がプライバシーの侵害その他の損害をこうむるおそれがある。そのため、情報公開法では、第三者情報を開示しようとするときは、第三者に対し、意見書提出の機会を付与することとした(情報公開法一三条)。第三者が、反対しているにもかかわらず、行政機関が、文書を開示しようとするときは、開示決定の日と開示との間に、少なくも二週間を置かなければならないことにした(情報公開法一三条三項)。第三者に、争訟の機会を保証するためである。

 

二四 開示の実施

情報の開示は、文書又は図画については閲覧又は写しの交付によって行う。電磁的記録については、政令で定める方法によって行う(情報公開法一四条)。

 

二五 他の政令による開示の実施との調整

他の政令の規定により、情報公開法による情報開示と同じ方法で開示することになっている場合には、情報公開法による開示は行わない(情報公開法一五条一項)。他の法令の規定に定める開示の方法が縦覧であるときは、情報公開法の閲覧とみなすことにする(情報公開法一五条二項)。

 

二六 手数料

開示請求をする者又は開示を受ける者は実費の範囲内で、政令で定める額の開示請求に係る手数料又は開示の実施に係る手数料を納めなければならない(情報公開法一六条)。

 

二七 不服申立

開示決定等に対しては、行政不服審査法による不服申立てができる。不服申立てがあった場合、行政機関の長は、原則として、情報公開審査会に諮問しなければならない(情報公開法一八条)。諮問をした場合には、不服申立人、参加人等に諮問をした旨を通知しなければならない(情報公開法一九条)。情報公開審査会は、総理府に置かれる合議体である(情報公開法二一条乃至二六条)。

審査会は、必要があると認めるときは、開示決定等に関する文書の提示を求めることができ、諮問庁は、文書提示を拒んではならない(情報公開法二七条)。インカメラ方式がとられている。審査会は、不服申立人等から申立てがあったときは、口頭で意見をのべる機会を与えなければならない。但し、審査会がその必要がないと判断したときは、機会を与えなくてもよい(情報公開法二八条)。

不服申立人等は意見書又は資料を提出することができる(情報公開法二九条)。不服申立人等は、審査会に提出された意見書又は資料の閲覧を請求できる。この場合、審査会は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない(情報公開法三一条)。審査会の審議は非公開である(情報公開法三二条)。審査会は、答申をしたときは、答申書の写しを不服申立人及び参加人に送付するとともに、答申の内容を公表する(情報公開法三四条)。政府は、行政機関の保有する情報の提供に関する施策の充実に努める。地方公共団体は、情報公開法の趣旨にのっとり、施策を策定、実施するよう努めなければならない(情報公開法四〇条、四一条)。

これにもとづき、各地方公共団体の条例の策定や改正が行われているところである。

 

全国消防長会顧問弁護士 木下健治

 

情報公開法は終了。次回からは成年後見、保佐、補助制度について。

 

 

 

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