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今後は、自治会等の組織を活用し、消防が住民の中に入っていき、火災予防及び火災の悲惨さを認識させ、消防、市民総ぐるみで火災の再発防止に取り組んでいきたい。 (宮本光教)

 

救急・救助

「更なる救命率向上を目指し活動する宮崎市救急ネットワーク」

宮崎市消防局(宮崎)

 

はじめに

宮崎市は、九州の東南端宮崎県の中央に位置し、西に九州山脈を望み、東は波荒い日向灘に面し、南北約四〇km余にわたり海岸線が続き、沖合を黒潮が四国沖へと流れています。その影響で温暖な気候風土に恵まれ、冬でもほとんど積雪がなく、亜熱帯植物の群生する青島をはじめ日南海岸沿いには、南国特有の色彩豊かな草花が四季を通して咲き乱れ「トロピカル」な気分にさせてくれます。

二〇〇〇年七月に九州・沖縄サミット宮崎外相会合が当市で開催されました。この国際会議を機に国際コンベンションリゾート都市・国際会議都市を目指したまちづくりも、二一世紀へ向かって大きな第一歩となりました。

宮崎市消防局は、昭和四八年四月一日近隣六町から委託を受け、管轄人口は四二万余人、総面積八七〇km2を有し、現在の消防体制は一本部・二署・一分署・五出張所、職員二八七名で消防の任務に当たり、市民と一体となり二一世紀に向かって「躍動する太陽都市…みやざき…」を実現するため、新しいまちづくりを進めております。

今回は、救急救命士が中心となり発足した救急を考える会「救急ネットワーク」の取り組みについて紹介します。

 

一 救急の現況

宮崎市消防局は、八隊(すべて高規格救急車を運用)の救急隊(平成一二年五月現在、救急救命士三三名、救急II課程及び標準課程修了者一三七名)で運用し救急業務を行っています。

平成一一年の救急出動件数は一〇、三六〇件、前年より七一八件の増加を見ており、全国的な傾向と同様に今後も増加していくものと思われます。その内、心肺停止患者二二八名を搬送しており、一ヶ月後生存者数一五名、生存率六・六%で全国平均の三・二%と比較して高い生存率となっています。

このことを検討してみると、次の三つのことが生存率向上の一因となっていると思われます。

1] 救急II課程、標準課程修了者に対する呼吸器・消化器・心疾患・外傷・意識障害等の四日間のシミュレーション研修及び三日間の病院内研修

2] 救急救命士資格取得後の就業前研修を宮崎市内の二病院に依頼し、医師及び看護婦の指導を受けながら救急処置室、手術室でのバッグマスク等による人工呼吸、静脈路確保、器具を使った気道確保、病棟における観察及び看護等の研修を六〇日間、また、二年毎に一週間の同様の病院内研修

3] 市広報紙、テレビ等による広報により一般住民の応急手当に対する認識が深まってきており、普通救命講習、上級救命講習の受講者も年々増加し、それに伴い、救急隊到着前のバイスタンダーによる応急処置の増加などが考えられます。

 

二 ネットワーク発足までの足跡

近年、全国的に救命士会等の発足が相次ぐ中、いまだに宮崎市消防局及び宮崎県レベルの救命士会が発足していない現状を踏まえ、救急救命士を中心に発足へ向け、機運が高まり平成一一年一一月に救急懇話会を開催しました。この中で消防職員だけでなく幅広く会員を募り、多目的に救急に関して自由な意見が言え、活動が出来る組織作り、また、みんなで宮崎市の救急を考える会を設立する方向で話しを進めることを確認し、同会の仮称を「宮崎市救急ネットワーク」と決定しました。

その後、五回の設立準備会議を行い、ネットワークの会則の作成及び役員選考・活動方針(案)等について審議を重ね、設立総会へ向けての準備を行いました。

なお、ネットワークの活動方針(案)については1]プロトコールの作成2]症例発表3]蘇生率に関する研究4]感染症者の搬送と消毒の研修5]各種研修会参加者の報告6]救急隊員の養成7]その他の救急に関することの七項目を決定しました。

そして、平成一二年二月正式に「宮崎市救急ネットワーク」として発足しました。

 

三 ネットワークの活動状況

基本的に年四回(総会を含む)の研修会を実施し、会員相互の研修と研究を通じて、救急に関する知識と技術の向上及び会員の親睦を目的に活動を開始しました。

 

 

 

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