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第三五条の五(市町村の救急業務)は「政令で定める市町村は、救急業務を行う実施主体でなければならない」とし、また第三五条の六(救急業務の要請)は、「都道府県知事は、救急業務を行っていない市町村の…必要とされる救急業務を、関係市町村の意見をきいて、救急業務を行っている他の市町村に実施するよう要請することができる。…その要請を受けた市町村は、当該要請に係かる救急業務を行うことができる。」として広域防災・救急行政遂行の手続きを、さらに、第三五条の九で「救急隊の編成及び装備の基準その他救急業務に関する必要事項」の政令委任を定めて、防災行政における政府の統括責任を担保している。

消防組織法では、第一条(消防の任務)で「消防は、その施設及び人員を活用して、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、水火災又は地震等の災害を防除し、…これらの災害に因る被害を軽減すること」、第四条(消防庁の事務)は第一五号「救急業務の基準の研究及び立案に関する事項」で救急業務に関する国の統括責任を明示し、第六条は市町村の第一次的消防責任を「当該市町村の区域における消防を十分に果たすべき責任を有する。」と定め、第七条(市町村消防の管理)は、「条例に従い、市町村長がこれを管理する。」と条例による行政の原則を明示している。さらに第一四条の二(消防職員の職務)は「上司の指揮監督を受け、消防事務に従事すること」とし、第一四条の三(消防長・消防職員の任命等)第一項は「消防長は、市町村長が任命し、消防長以外の消防職員は、市町村長の承認を得て消防長が任命する。」第二項「消防長及び消防署長は、政令で定める資格を有する者でなければならない。」として、消防組織の効率的一体性自治的固有事務性を確認している。なお第二四条(消防及び警察の相互協力)は特に大規模災害時に有効な協力規定で、第二項「消防庁、警察庁、都道府県警察、都道府県知事、市町村長及び水防法に規定する水防管理者は、相互問において、地震、台風、水火災等の非常事態の場合における災害防禦の措置に関し予め協定することができる。これらの災害に際して消防が警察を応援する場合は、運営管理は警察がこれを留保し、消防職員は警察権を行使してはならない。これらの災害に際して警察が消防を応援する場合は、災害区域内の消防に関係のある警察の指揮は、消防がこれを行う。」と警察と消防の管轄を定めている。非常事態の防災行政遂行の職務権限は、第二四条の二(非常事態時の都道府県知事の指示)で、知事は「地震、台風、水火災等の非常事態の場合において、緊急の必要があるときは、市町村長、市町村の消防長又は水防法に規定する水防管理者に対して、前条第二項の規定による協定の実施その他災害防禦の措置に関し、必要な指示をすることができる。この場合における指示は、消防庁長官の行う勧告、指導及び助言の趣旨に沿うものでなければならない。」とする。第二四条の三は消防庁長官の広域消防応援措置権を定め、消防庁長官は第一項(非常事態の場合)で、「これらの災害が発生した市町村の消防の応援に関し、当該災害発生市町村の属する都道府県知事から要請があり、かつ、必要があると認めるときは、当該都道府県以外の都道府県知事に対し、当該災害発生市町村の消防の応援のため必要な措置をとることを求めることができる。」、第二項(緊急消防措置要求)で「災害の規模等に照らし緊急を要し(前項)の要請を待ついとまがないと認められるときは、(前項の)要請を待たないで、緊急に消防の応援を必要とすると認められる災害発生市町村のため、当該災害発生市町村の属する都道府県以外の都道府県知事に対し、当該必要な措置をとることを求めることができる。

 

 

 

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