日本財団 図書館


ワンポイント

消防職員のための法令解説

 

情報公開法(六)

 

一五 審議、検討または協議に関する情報

国の機関及び地方公共団体の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぽすおそれがあるもの(情報公開法五条五号)は、不開示情報である。

各地の情報公開条例で、意思形成過程情報といわれるものである。

行政機関の意思が、まだ確定していない決裁前の文書が情報公開法の対象となっている。そこで、これらの情報が開示されてしまうと、外部からの圧力がかかったり、干渉が入ったりして率直な意見の表明ができにくくなったり、意思決定の中立性が損なわれたりするおそれがある。

しかし、行政の説明責任をはたすためには開示をすることが望ましい場合もある。そこで、不当に損なわれるおそれ、不当に混乱を生じさせるおそれ、不当に利益を与え若しくは不利益を与えるおそれという要件を加えて、非開示情報としたものである。

 

一六 事務または事業に関する情報

国の機関又は地方公共団体が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ばすおそれがあるもの(情報公開法五条六号柱書)は、不開示情報としてあげられ、(イ)監査、検査、取締り、試験に関する事務で、正確な事実の把握を困難にするおそれ、違法、不当な行為を容易にする等のおそれのある情報 (ロ)契約、交渉、訴訟に関する事務で、国又は地方公共団体の財産上の利益や当事者としての地位を不当に害するおそれのある情報 (ハ)調査研究事務で、公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれのある情報 (ニ)人事管理に関する事務で、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれのある情報 (ホ)国又は地方公共団体が経営する企業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれのある情報が、あげられている(情報公開法五条六号イ、ロ、ハ、ニ、ホ参照)。

この(イ)から(ホ)までに掲げられている情報は、典型的な例を示したもので、不開示情報の限定列挙ではない。情報公開法六条柱書は、「…次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぽすおそれがあるもの」と規定しているので、イからホに掲げられていない情報であっても、柱書の要件に該当する以上不開示情報となる。

支障の程度は、実質的に支障が生ずる程度が必要である。

(ハ)の調査研究は、大学、研究所等の調査研究を対象としているものである。一般の行政機関の行う企画、立案に関する調査研究は、その調査研究中の情報は、情報公開法五条五号の情報となる。(ホ)の情報は、情報公開法五条二号の法人情報にいれず、別にさだめているのは、説明責任を重視したものである。

 

全国消防長会顧問弁護士 木下健治

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION