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「火の用心」の始まりと言われるこの言葉に「火災予防」の願いを込めて、消防長から託された「火災予防メッセージ」を、一〇名の消防大使(婦人防火クラブ員)が構成一〇町村それぞれの町村長・消防団長に届ける。途中、街頭で住民に直接火災予防を呼びかけるとともに、役場庁舎前での伝達式では役場職員や付近の住民を前に「火の用心」の願いが伝えられ、早速、町村長・消防団長から住民に火災予防メッセージが伝えられた。

マンネリ化する火災予防行事を、より効果的に推進する方法の一つとして提案し、消防と町村役場・消防団が一体となった火災予防行事として定着し、効果を上げている。

 

四 広報

消防本部では、年四回発行し全戸配付をしている広報紙「雲南消防」を通じて、火災の発生状況や火災原因・救急法を紹介し、火災防止・救急法の普及に努めている。

また、婦人防火クラブ会長により、日常の防火・防災について心がけていることや、活動を紹介するコーナーも設けている。

その他に、秋の火災予防運動には保育所・幼稚園児を対象に「火災予防図画コンクール」や消防職員を対象に「火災予防ポスターコンクール」を実施。最優秀作品で雲南消防オリジナルのポスターを作成し、管内全戸及び各事業所に配布している。毎年、目を引くポスターに仕上がり、住民の好評を得ている。

さらに、管内六町のケーブルテレビを通じて火災予防や各種行事などを放映している。視聴率が高いことから有力な広報媒体として一役を担っている。

 

五 災害弱者への対応

火災等による被害が最も多い高齢者を災害から保護する目的で、毎年春と秋の火災予防運動に合わせ、一人暮しのお年寄り宅の防火診断を行っている。主に火気取扱場所の点検や簡単な不備箇所の修理のほか、短時間ではあるが世間話などをし、また、昨年は健康と防火の願いを込めて職員手作りの「防火傘」を配るなど、触れあいを大切にしている。

平成二年からは、災害弱者緊急通報システムを導入し、消防本部通信指令室に受信センターを設置。一人暮しのお年寄りの緊急時の体制を整備した。有事の際に高齢者が持つペンダント、または専用電話から消防本部指令室に通報されるシステムで、近隣の住民と民生委員、消防が一体となって高齢者の安全な生活の確保に努めている。

また、今年七月からは、難聴者からの緊急通報ができるように、FAXからの緊急通報受信システムを整備している。

一方、急速な国際化が進む今日、消防本部管内においても在日外国人の数は急速に増え続けている。在日外国人は、生活様式の違いなどから火災等災害危険が高いと考えられることから、出身国の言葉に訳した防災パンフレットを作成し、それぞれの職場に配付するとともに、火気の取り扱いや消火器の使用方法などについて防火講習会を開催し、積極的に防火・防災の意識高揚を図っている。

 

おわりに

今後さらに高齢化と過疎化が進むとともに、各地で頻発している地震や火山の噴火、また、交通災害など各種災害が多発する今日、住民が安全で安心して生活できる地域づくりに、私たち消防をはじめ防災に携わる機関に対する住民の期待はますます高くなっている。

私たち雲南消防本部では、二一世紀に向けた指針を「福祉消防」と位置づけ、職員一丸となり、災害のない安全な地域づくりを目指し業務に取り組んでいる。(星野尚幸)

 

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