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おわりに

今回の事故は、全国の各自治体等で毎日実施されている、ゴミ収集車の事故であり、車両に各種の安全装置は設置してあるものの、作業員の人為的ミスあるいは僅かな注意力の欠如によって今後も発生が予想される。

その中にあって、複雑な車両構造、作動状況、救出作業の長期化等を考慮した、車両技術者及び医師の要請、派遣と非常にスムーズに行われた事例であった。

さらに、当事故を教訓として、直ちに熊本県下を対象とした救助研修が実施された。

今後ますます複雑多様化する災害に対して基本的な知識と技術の習得と併せて、関係防災機関等々との連携に務め、迅速的確に対応し、地域住民の信頼と負託に応えていきたい。

(本田宏)

 

予防・広報

「自然と安全が優しく融和するふるさと」

雲南消防本部(島根)

 

はじめに

雲南消防本部・消防署は、昭和四六年山陰地方初の組合消防として業務を開始。島根県の南東部(奥出雲地方)に位置し、東は鳥取県、南は広島県に接する。九町一村で構成され、人口約七二、〇〇〇人、管轄面積一、一六四・一〇km2。広範な地域を一本部三署、廣澤消防長以下九六名の職員で住民の安全を担っている。

管内のほぼ中央部を南北に流れる斐伊川には、古くから須佐之男命に纏わる「八岐の大蛇伝説」が語り継がれ、「加茂岩倉遺跡」からは三九個もの銅鐸が出土し、日本中に衝撃を与えたことも記憶に新しい。

また、日本桜百選に選ばれている木次町の二kmに及ぶ桜並木、大東町の川面に幻想的な瞬きを映しながら飛び交う源氏ボタルや安土・桃山時代から四二〇年も伝えられる七夕祭り。地上一〇〇mと日本一を誇る横田町の二重ループ橋「奥出雲おろちループ橋」など、豊かな自然と多くの名所、神話・伝説が息づく歴史とロマン香る地域だ。

 

一 雲南少年婦人防火委員会

「自分たちの地域は自分たちで守る」を合言葉に、昭和六〇年九月に防火委員会を設立。現在、幼年消防クラブ五三クラブ・一、九八六名、少年消防クラブ五四クラブ・四、三七四名(保育所・幼稚園・小学校は全て結成)、婦人防火クラブ三一二クラブ・一〇、三四〇名(管内人口の約一五%)がそれぞれ積極的に防災活動を行っている。

特に幼年消防クラブでは、保育所・幼稚園の行事に併せて防火餅つきや防火豆まきなどを行い、幼年期からの防火・防災に対する意識を育成している。

少年消防クラブでは、毎年夏休みを利用して「少年消防クラブ員研修会」を実施し、初期消火訓練や起震車による地震体験、ロープ渡過などの救助体験、救急法講習などの実技を体験することで、消防への理解と防火・防災に関する知識の修得に努めている。昼食には、クラブ員が協力してカレーライスを作り、全員で和やかに食べながらクラブ員同士の親睦を深めている。

婦人防火クラブでは、火災予防運動期間中の火災予防広報のほか、消火訓練や救急法講習により防火・防災知識の習得を図るとともに、毎年実施している婦人防火クラブ会長会議では、各クラブの活動報告や意見交換、火災原因の傾向などの講習を通し、その後の防火クラブの活動に生かしている。

 

二 消防展

消防本部では、より多くの人に直接「消防」に触れてもらうことにより、消防への理解と防災への認識を深めてもらうために、各町村が実施している活性化事業のイベントに協賛し、毎年消防展を開催している。

開会式では、幼年・少年・婦人防火クラブ員が「ふれあい防火パレード」により住民に防火を呼びかけた後、会場で防火餅まきを行い、各種消防車両を展示するほか、消防・救助・救急資機材の展示や実演を行っている。

 

三 消防大使

「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」

 

 

 

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