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当局の消防体制は、一局三署一五出張所、職員数六三一名で地域防災の任に当たっている。

ここで紹介する事例は、各自治体で毎日実施されているゴミ収集車(パッカー車)への巻き込み事故事例である。

 

一 事故発生日時等

発生日時

平成一一年八月三〇日(月) 九時三二分頃

発生場所

熊本市上熊本Y丁目道路上

気象

天気 晴

気温 三〇℃

湿度 六三・二%

風向 南西

風速 二・四m/s

覚知時刻 平成一一年八月三〇日(月) 九時三四分

現場到着 九時三九分

医師要請 一〇時〇七分

技術者要請

医師到着 一〇時一二分

技術者到着 一〇時三五分

救出完了 一一時五九分

負傷者 一九歳 男性一名

左足大腿骨骨折(重症)

出場車両及び人員

指揮車 一台

救助工作車 二台

ポンプ車 一台

高規格救急車 一台

救急車 一台

支援車 一台

その他 二台

計 九台 二九名

医師 三名

技術協力者 一名

 

二 事故発生状況

ゴミ収集作業中、微速にて走行中の回転板式パッカー車(二t)の車両後部でつまずき、ゴミ投入口に転落、その際回転板に左足大腿部を巻込まれたものである。

 

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三 救出活動概要

現場到着時、要救助者はパッカー車回転板に左膝を巻き込まれ、ゴミ投入口に全身が入り込んだ状態で苦痛を訴えていた。

意識は清明で、足部からの出血が少量確認できた。

軸受け部分の解体を試みるが二次災害の可能性があるため断念する。

二次災害防止策(回転板及び押し込み板のチェーンを固定)を図ると同時に、要救助者の負傷箇所の確認を実施したところ、容易に確認できず各隊協力し出火防止策をとりながら、エンジンカッターでボディー両側及び上部を開放し、内部のゴミ(満載状態)を負傷箇所が確認できる状態までかき出した。ポンプ隊は警戒筒先を配置。救急隊は受傷部位の確認、苦痛等の確認、血圧の測定を実施した。同時に、解体方法を関係者に聴取するが不明であったため、技術協力のため専門の業者を現場に依頼した。

さらに、作業が長時間に及ぶと予想されたため、要救助者の容態悪化に備え現場に医師の派遣を要請した。

医師の到着と同時に輸液投与を実施する。

負傷箇所は、皿部分で回転板と押し込み板に挟まれ、ボディー内部に突出した状態であった。

ボディー内部からの救出が最善と判断、専門の技術者により回転板の駆動チェーンを開放し内部からは大型油圧救助器具スプレッダーを二機、同時に使用し回転板先端とホッパー部に間隙を作り救出した。

 

 

 

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