そのため火災には気が付かず、外で人の騒ぎがするので気が付いた状況だったとのこと。
車を運転中の男性も、立ちのぼるすごい煙を見て火災現場に一番近い一ノ宮分署へ駆け付け通報した。
四 活動状況
一ノ宮分署への通行人からの駆け付けと、一一九番通報により覚知した通信指令室からの一斉指令を同時に受け、一ノ宮分署から水槽付ポンプ車、富岡消防署から水槽付ポンプ車とポンプ車が直ちに出場した。
分署出場隊が消防車に乗車する際、すでに北東の方向に黒煙が力強く真っ直ぐ上がっているのが確認され、車載無線開局とともにその旨を通信指令室へ報告した。
分署出場隊の現場到着時には、地元住民が地下式消火栓からホースを延長し放水準備をしており、さらに地元消防団ポンプ車両が水利部署していた。火災の状況は、火元建物の通りに面している側がシャッターに覆われ内部が視認できない状況であったが、すでに火災は最盛期で屋根は燃え抜け激しく炎上し、隣接している東西の建物へ延焼中で、火災は延焼拡大の様相を呈していた。
火元建物は間口が狭く奥行きのある建物で、隙間無く隣接する東西の建物間に活動スペースもなく、延焼拡大を阻止するため火元西側の店舗併用住宅の建物内にホース延長し防ぎょにあたり、次いで後着隊が火元東側の建物防ぎょのために二棟東に位置する住宅の中をホース延長し防ぎょにあたる。
さらに包囲体制を強化するため、現場指揮本部の要請により非番招集した職員一隊を水槽付ポンプ車にて出場させ出火建物の南側を防ぎょした。懸命な防ぎょ活動の結果、午前九時二〇分火勢鎮圧し、午前九時五〇分火災鎮火に至った。なお、本地域特有のからっ風が当日は吹き荒れなかったことは、火災防ぎょ活動において火災延焼を最小限に抑えられたことに幸いした。
五 あとがき
本火災は、開店まえの八時三〇数分過ぎに発生した火災であったが、火元建物の関係者が別棟に生活していたことから、火災発生に気が付かないでいたことにより火災拡大の要因を作ってしまった。
また、発生当日が、一月一〇日ハッピーマンディ成人式の朝という事もあり、普段より店舗前を通る人通りが少なかったことも火災発見の遅れの要因の一つにあげられると考えられる。
我々消防としては、今後夜間無人となる店舗等の防火指導の強化はもとより、地域の防火管理体制の強化を図り消防と市民が一体となって火災予防に取り組んでいきたい。
さらに警防面で、商店街等の密集地の警防計画に基づく火災防ぎょ訓練と、路地裏等細部にわたる警防調査の実行が必要とされる。今後も市民を守るために不断の努力を続けていきたい。(佐藤亘)
